68話 最終試験の異変
「それではこれより、王妃候補選抜会の最終試験を開始いたします」
王妃候補選抜会、最終日。
今日はバシム第一王子と1対1での面談が行なわれる。
要するに、面接試験というやつだろう。
「選抜会へ参加してくれた女性陣。厳しい試験をくぐり抜けてよくぞここまで残ってくれた。こちらの不手際で危険な目にも遭わせてしまい、大変申し訳なく思っている。これから私との面談を行ない、それで試験は終了だ。どうか肩の力を抜いて、本音で話してもらえればと考えている」
「バシム第一王子、ありがとうございました。それではギフト披露試験の時と同じように一人ずつお呼びするので、それまで待機をお願いいたします」
バシム王子の挨拶が終わり、マルチホールでしばし試験の順番待ちとなる。
おそらく前回のギフト披露試験と一緒でオレを含む招待組は後々になるだろう。
「(面接試験かあ。わたくしも、前世であのまま生きていたら就活とかでやったのでしょうか……)」
一応、ギフト披露試験の時にバシム王子とは軽く話しているし、昔から施設で色々な人と接してきたから人と話すのは得意な方だと自負している。
それはそれとして、タオ第四王子に会える可能性がここにきてほぼゼロになったというのが今のオレのモチベーションをめちゃめちゃに下げているのだが。
「……あれっ? なんだか参加者が少なくなってるような気がしますの」
前回のジャベリックダーツ試験は、トチ狂って毒矢を投げた令嬢以外は全員合格になったはず。
しかし、今見ると数人少ないような……オレも全員の顔と名前を覚えられてはいないが、それでも明らかに数が少ない。
「いないのは……多分、ノーラとその取り巻きたちだな」
「さすがヨル、よく見ていますわね」
「アイツらとはサドンデスマッチ試験でちょっとやり合っただろ。さすがに覚えとけよ」
ヨルに言われて再度参加者を確認すると、ノーラ・ワイルドシップとその取り巻き令嬢たち数名が不在なことに気が付いた。
運営側からは特に何も言われていないし、もしかしたら全員体調不良だろうか?
「休暇中に皆で生牡蠣パーティーでもしたのかもしれませんわね」
「なんだよ生ガキパーティーって。犯罪の匂いしかしねえぞ」
「生の子供という意味ではありませんの」
いやそう言われるとだいぶ危ないワードだな。生牡蠣パーティー。
「……あら?」
「どうしたシィナ」
「いえ……」
ふとマルチホールの窓から外を眺めると、慌てた様子で何かを探している王宮騎士を発見した。
あの人は前にアクエリルを食べさせてあげた空腹男子……一体どうしたというのだろう?
「ヨル、わたくしお花を摘みに行ってまいりますわ」
「おう」
お手洗いに行く事をヨルと運営スタッフに告げ、さっきの騎士を探す。
「あ、いましたの。あんなに慌ててどうしたのでしょう……おーい!」
あまりに必死そうだったので声をかけたところ、マジで慌てていたのか、物凄い形相でこちらに走ってきた。
「あ、あなたはこの間のご令嬢……!」
「ご無沙汰しておりますの。何かを探しているようでしたが、一体どうされましたか?」
「じ、実は……っ」
オレに話していいのかしばし葛藤した後、騎士の男は打ち明ける。
それはきっと、本当は選抜会のためにやってきた令嬢風情には話してはいけない事だった。
しかし、半分パニックになっていた男はオレに話してしまった。
「タ、タオ第四王子が、離宮からいなくなってしまいました……っ」
「…………えっ?」
タオ王子が、いなくなった……?
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