63話 異変
「ただいまの結果……9点!」
「…………」
ざわ、ざわ……
「メロコ様が、最下位ですの……?」
「き、きっとたまたまですわ!」
ジャベリックダーツ試験の1巡目、最後にメロコが投げ終わって全員の結果が出そろった。
1回目を投げ終わった結果は、1位:カフカ・マシャロー70点、2位:リンカ・ナヘーゼル68点、3位:ヨル・ギストレンジ64点……最下位:メロコ・ギレッド9点。
「メロコ様へったくそですの!」
「おいやめろ。燃やされるぞ」
いやあ、メロコがまさかの結果過ぎる……サドンデスマッチ試験ではリーダーとしてかなり活躍していたから、運動神経は良い方だと思うんだが。
まあアレだな、のび太が運動神経悪いけど射撃の才能はあるってやつの逆パターンで、運動神経良いけど射撃は苦手って感じなんだろうな。
射撃っていうか、手投げだけど。
「だ、大丈夫ですメロコ様! 人間ひとつくらい欠点があった方が魅力的だと聖書にも書かれています!」
「慰めの言葉をありがとうクレーネ……でも大丈夫よ、これくらいで落ち込んだりしてないから」
「それは良かったです! 私も次は60点取れるようにがんばります!」
「……クレーネ、1回目の得点は?」
「57点です!」
「…………」
「メロコ様!?」
シスターのクレーネに慰められて立ち直りかけていたメロコだったが、クレーネの得点を聞いてふたたび落ち込んでしまう。
実はそこのシスター、結構上位だったんですよ。
「それでは2巡目に入りますので、各自準備をしてください」
………。
「つ、次こそ……狙うは五大公爵家……誰でもいいからやらないと……」
―― ――
「ただいまの結果……54点!」
「50点超えましたわ!」
「わたくしも1回目より良かったですの!」
ジャベリックダーツ試験、2巡目。
やはり既にプレイしているということもあり、みんな1回目よりも高い点数を出してくる。
この流れに乗って、オレも1回目の62点より良い結果を出さないとな。
「次のかた!」
「は、はい……よし、やりますわ……」
「ん……?」
2回目のジャベリックダーツの順番を待っていると、少し挙動不審な令嬢がステージにあがる。
呼吸が浅く、矢が入ったカゴを持つ手が震えているような……体調悪いのか?
「それでは始めっ!」
「……っ」
なんとなく気になってプレイ中の様子を観察していると、最初の数本は普通に投げているように見えたが、何故か背後……オレたち令嬢が待機している方をチラチラと振り返りながら進んでいた。
「なんですの? こちらを確認しても的も何も……っ!」
その時、オレはこちらを振り向いた彼女の血走った目に気付いてしまう。
あの目は危険かもしれない……何かをやらかす気がする。
「はあ、はあ……う、うわああああっ!!」
「マジかよっ!?」
思わず夏山彪雅の口調が出てしまったオレの視線の先では、振り向きながらこちらに向かって矢を構える令嬢の姿が。
いや馬鹿なのか!? 何やってんだアイツ!!
「(他の人は……クソッ!!)」
危険を感じ、一気に思考が加速する。
もしかしたら運営スタッフは気付いているかもしれないが、的に刺さった矢を確認していて気付いてないかもしれない。
令嬢たちはプレイ中の様子を見ておらず、談笑している人がほとんどだ。
「(こちらに矢が飛んで来たらマズい! なにか、矢から身を守るものを……!)」
加速する思考の先では、ゆっくりとこちらに向かって矢を持った手を振り被る令嬢の姿が。
これはもう、四の五の言っていられない……!!
「死ねええええええっ!!」
「出てきて、パイナップル!!」
ポンッ!! ドスッ!!
「ペンパイナッポーアローパイナッポーですわ~!」
「何やってんだシィナ!?」
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