60話 リューキ第三王子
「皆さまお待たせいたしました。これより王妃候補選抜会・ジャベリックダーツ試験を開始いたします」
「よ、よろしく……」
前回のハイカー第二王子プレゼンツによるサドンデスマッチ試験が行われてから3日後、遂に本日はリューキ第三王子プレゼンツのジャベリックダーツ試験の開催日だ。
サドンデスマッチ試験で色々とトラブルがあって期間が空いてしまったが、あの火事に巻き込まれたお嬢様たちの精神的休息のためには仕方が無いだろう。
「えっと……今回の試験を考案した、リューキ・クレインです」
「きゃ~! リューキ王子ですわ!」
「可愛いですの!」
リューキ・クレイン第三王子が出てきた途端きゃいきゃいと騒ぎ出す一部のお嬢様方。
リューキ王子は12才で、アストラ第一王妃の子供としては末っ子だ。
普段はほとんど公の場に姿を見せず、王宮からも出てこないので『根暗王子』などと陰口を言う人もいるが、さすがの王の血筋……めちゃめちゃ儚げな美少年で女性からの人気はとても高い。
「そ、それではルールを説明します……参加者は1人ずつ、左右から的が出現する通路に入ってもらって、その通路を進みながら手投げ矢を投げて的に当ててください。的に当てた本数と、当たった的の位置でポイントを計算して、合計が高い人が勝ち……です」
「きゃ~! わたくしのハートも射貫いてほしいですわ~!」
「それな~! ですの!」
「ええ……」
「死ぬだろそりゃ」
リューキ王子の説明を聞いて意味不明な盛り上がり方をする一部の令嬢たち。
しかも闇深いのが、リューキ王子と年の近い若い令嬢じゃなくて、オレ達よりも年上のお姉様たちから特に熱い声援が飛んでいる。
「バシム王子の王妃候補の試験なのに、あの方たちはなんですの? 数年後にリューキ王子が婚約者を探すときに立候補したらよろしいではありませんか」
「チッチッチ……甘いぜシィナ。アイツらはそういうんじゃねえんだ」
「どういうことですの、ヨル」
「果物で例えると、果実はまだ青いが、アイツらにとっては今が食べごろってことだ」
「……業が深いですわ」
なるほど、どこの世界にもそういう趣味の人はいるらしい。
まあ、ジュニアアイドル的な見方をしているだけなら良いとは思うが……バシム王子と婚約したついでにつまみ食い、みたいな考えだったらヤバい。
「ヨル、先に言っておきますがわたくしはタオ王子の事はそういう目で見てませんわよ」
「わーってるよ。お前の謎の執着はあそこの連中とはなんか違うからな」
母性というか、兄性というか……まあそんな感じだからな。
でもまあ、リューキ王子も弟っぽいっちゃ弟っぽいかも。
オレが施設にいたときはあれくらいの年の子供たちの面倒見てたから。
「……説明はこれで終わり。それじゃあ、試験がんばってね」
「「は~い!!」」
「元気なお返事ありがとうございます。ただし、今回の試験はあくまでバシム第一王子の王妃候補選抜ですのでそちらのお二人は評価を下げさせていただきます」
「「…………」」
運営さん、よく見てるぅ~。
っていうかオレも気を付けないと、もしタオ王子が出てきた時に『美柑~! 美柑なのか~!? お兄ちゃんだぞ~!!』とか叫んでしまうかもしれない。
「また、試験中はギフトの使用は禁止となっております。己の射的力のみで試験に挑んでください」
こうして、本日の選抜試験『ジャベリックダーツ試験』が始まった。
「厳しい手裏剣修行を乗り越えたわたくしの実力、見せてあげますの!」
「昨日ちょろっとやっただけだけどな」
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