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妹を庇って死んだ俺、辺境伯令嬢に転生する ~第四王子になった妹を迎えに行きますわ!~  作者: ふぃる汰


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53話 火の海から脱出せよ



「い、一体だれがこんなことを……」



「今はそんな事より、火の海から脱出しねえとマズいぜ!」



「そうですわね!」



 王妃候補選抜会・サドンデスマッチ試験の最中に気付いたら撒かれていた油、そしてメロコのギフト『フレイム』の接触による出火。

おそらくこれを見越していた犯人はすでにこの場から離脱しているはず。

だが、今は犯人捜しをするよりも先に、サドンデスマッチ試験のステージに残っている令嬢たちと一緒にこの場から離脱しなければ。



「ここは、わたしのギフトで……!」



 ステージに取り残されているチームの中から一人の令嬢が手を挙げる。

彼女はたしか、五大公爵家のリンカ・ナヘーゼル……



「リンカ様のギフトは何ですの?」



「水を生成する『アクア』ってギフトだ。なるほどな、それなら消火が……」



「油火災に水は危ないですわ!」



 普通に火を消す分には放水による消火で問題無いだろう。

しかし、油を燃料として火が出ている場合はかけた水が一瞬で蒸発して高温の水蒸気となり、逆にこちらがやけどを負ってしまう場合がある。

さらに油も水と触れることで飛び散って、逆に延焼してしまう可能性も……



「それならまだ、わたくしたちが水を浴びて火の海をくぐり抜ける方が怪我はマシかもしれませんわね」



「お顔をやけどするのは嫌ですわ~っ!」



「どうしてこんなことに……お父様、お母様……」



「ダメだ、みんなパニックになってきている」



 冷静そうなメロコも、自身のギフトが招いた火災を見て呆然としてしまっている。



「……ヨルのギフトは、お水を成長させることもできますの?」



「み、水を成長~? そんなことやったこともねえよ」



「それなら今こそやってみる時ですの! リンカ様! あっちの方向に向けて最大火力でギフトを発動してくださいまし!」



「えっ? 最大火力?」



「紛らわしい表現使うなって」



 炎の壁が薄そうな方向を選び、リンカにも協力してもらってこの場を打開することに。

燃えている油の温度はおそらく300℃ほどになっているので、ここに大量の水を加えて蒸発しないくらい一気に冷やせばちゃんと火は消えるはず。

そのため、リンカのギフト『アクア』で水を出した後、ヨルのギフト『グロウ』で成長させ……



「ユンちゃん! あなたのギフトでお水を凍らせてくださいまし!」



「分かりましたでございます。全力全開でギフトを使いますでございます!」



「それではいきますわよ~!」



 オレの掛け声とともに、役割を受けた各令嬢たちがギフトの発動にとりかかる。

この一撃で全力を出すために、いつもよりも気合いを入れているようだ。



「いきますっ! ギフト、アクアッ!!」



「待ってたぜ……ギフト、グロウッ!!」



 ドッパアアアアアアアアアアアアアア!!



「す、すごい放水量です……わたしの全力ではこんなに水を出せたことがありません……!」



「グロウ成功だな……ユン!!」



「任されたでございます……ギフト、アイス!」



 パキパキパキイイイイ……!!



「道が出来ましたわ!!」



 大量に放出された水流が徐々に凍っていき、絶賛炎上中のステージの一部に氷の壁が出現する。



「皆さん! あの間を通って脱出ですわ!」



「氷が融ける前に急げっ!!」



 自分で動ける令嬢たちが脱出した後、パニックや放心状態の人を連れてステージから離脱する。



「メロコ様も、行きますわよ!」



「え、ええ……ごめんなさい」



「メロコのせいじゃねえ、気をしっかり持ちやがれ五大公爵家」



 こうしてオレたちは無事に火の海と化したステージから脱出することに成功したのであった。

軽いやけどを負った者はいたが、それもクレーネのギフトで治癒することができ、実質怪我人ゼロ。

いや~良かった……油火災の知識があって。



「それにしても、誰がこんなことを……」



 サドンデスマッチ試験中にステージに乱入してきた人はいなかったし、もしそんな人がいるなら運営が止めていたはず。

そうなると、やったのは参加中の令嬢の誰か……



「王妃候補選抜会、なんだかきな臭くなってきましたわね」





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 下記の文について水を指すようで済みません。消火だけに…… 『燃えている油の温度はおそらく300℃ほどになっているので、ここに大量の水を加えて蒸発しないくらい一気に冷やせばちゃんと火は消えるはず』 …
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