52話 火災
「よっしゃ! この調子でガンガンいくぜ!」
「がんばりましょう!」
「目指せティアラマスターですわ!」
「ティアラマスターというか、ティアラ捕り名人でございます」
ノーラのチームから奇襲をかけられてピンチになったオレたちだったが、起死回生の卑怯技を使いまくってピンチをチャンスに変え、見事勝利することができた。
サドンデスマッチ試験も終盤戦……すでに多くのチームがティアラを取られて脱落し、残すところあと僅かだ。
「選抜会の試験など、本来はそこまで力を入れるつもりはなかったのですけれど……」
「ここまできたら優勝目指したいよな、シィナ!」
「そうですわね、ヨル!」
妹の美柑が転生しているかもしれないタオ第四王子を一目見る為にやってきた王妃候補選抜会。
正直バシム第一王子のお嫁さんになるモチベは全くと言っていいほど無いうえに、今のところタオ王子とも会えずじまいでまあまあ気持ちが落ちていたが、こういう体育祭的なイベントはどうしても盛り上がってしまう。
男勝りなヨルも騎馬戦魂を感じる素晴らしいリーダーシップを発揮してくれて、このまま強敵お嬢様どもを倒して頂点へ……
「……む?」
「どうしましたのユンちゃん」
「いえ……この辺の床がなんだかヌルッとするなあと思いましてでございます」
「もしかしてわたくしが投げたバナナの皮があったところですの?」
「いえ、そういうのではなく……地面になにか撒かれているような……」
ユンちゃんにそう言われて足元を確認すると、確かに若干ヌルッというか、ギトッとした液体が靴に付着する。
え、なに? もしかしてギトヌルローションを出すギフトとか使ってるお嬢様いる?
それはさすがに叡智じゃん。
「くんくん……これ、多分油です……!」
「えっ? あ、油?」
「なんでそんなもんが撒かれてんだよ……」
さっきのローションうんぬんもそうだが、油を生成するギフトなんてオレは知らない。
前に美柑を探すため、様々なギフトの本を調べたがそのようなものは載っていなかったはずだ。
「なんだよこれ、誰か持ってきて撒いたってことか?」
「ギフトで出したもの以外は持ち込み禁止のルールですよね? これがもしギフト技じゃないなら普通に反則ですよ!」
「しかも、この状況で油なんて撒かれたら……」
俺は先ほど軽くやり合ったメロコ・ギレッドのチームに視線を移す。
彼女のギフト『フレイム』で油に火が点いたら大変なことになるぞ……
「ど、どうしましょう……とりあえず、まずは運営さんに」
「ギフト、フレイムッ!」
「ちょちょちょ~っ!? 待ってくださいましメロコ様~!」
シュボッ……メラメラメラメラ……!
「きゃっ!?」
「ほ、炎が……!!」
ボワアアアアアアアアアアアアアアアッ…………!!
「時すでに遅しでございます」
「火事ですの~っ!!」
どうやら油はオレたちの足元だけでなく、ステージ上の至る所に撒かれていたようだ。
オレの注意喚起の声が届く前にメロコがフレイムのギフトを発動し、床の油に着火してしまう。
「こ、これは……!」
「運営さーん! これマズいかもしれないですわ~!」
「し、試合中断っ! 皆さん避難を……!」
「ダメだ! ステージを囲うように炎があがってやがる!」
シィナ・ゼテール……ザ・大ピンチ!!
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