51話 狙われたヨル
「石化のギフトですの……!?」
「そう、私のギフト『ストーン』は視線を向けている間、対象を固化させる能力……ヨルさん、これであなたはおしまいです」
「えっちなギフトですの!」
「えっ……?」
うら若きお嬢様を石化させるとは中々やるな……さすが元五大公爵家のノーラ・ワイルドシップ伯爵令嬢というわけか。
これは夏山彪雅としての感心も踏まえて評価を改めさせてもらおう。
「ちょっとそこの大女! ノーラ様のギフトを愚弄するおつもりですか!?」
「わたくしのギフトはグロウじゃなくてフルーツですわ。グロウはヨルですの」
「グロウじゃなくて愚弄って言ったんですの!」
「っていうか石化のギフトをボクがグロウで成長させたら大変なことになるのはボクだろ」
「だからグロウではなく愚弄ですっ!!」
ギャンギャンと怒り出すノーラの取り巻きのカーヴィンだが、フライのギフトを発動して絶賛浮遊中なのでちょっと見た目が面白い……あ、パンツ見えた。
「さあ、ヨル・ギストレンジ……そのティアラを私に寄越し、公爵家の座を降りなさい」
「この試合の結果と爵位に関しては関係ねーだろ。あとうちが降爵したところでワイルドシップ家が公爵に復帰できるわけでもないからな」
過去に問題を起こして五大公爵家の座から陥落して伯爵となったワイルドシップ家と、入れ替わりに五大公爵家入りしたギストレンジ家には、やはり深い因縁のようなものがあるようだ……まあ、互いにやり合った結果の降爵ではないからワイルドシップ家の逆恨みな気もするが。
「まあ爵位についてはどうでもよいのです……あなたの悔しがる顔が見られれば満足なので」
「クソがっ……相変わらず陰湿な女だぜ」
ジリジリとこちらに近づいてくるノーラのチーム。
こちらはヨルが動けず、この場で対応するしかない。
今のところ他のチームはこちらのやり合いに参戦してきてはいないが、チーム数が減ってきたらどうなるか分からない。
どうにかしてこの場を切り抜けなければ……
「出てきて、レモン……ッ」
ポンッ!
「そっちの大女、今何かしましたか?」
「何もしていませんわ。どうぞお話を続けてくださいまし」
「いや続けなくていいから」
こっそりとギフトを発動し、手の中に超絶すっぱい前世の果物を隠し持つ。
後はユンちゃんとクレーネに目配せして……今だっ!
「ギフト、アイス!」
パキパキパキッ……ツルッ!
「「きゃあっ!?」」
「……っ!?」
「ノーラ様っ!」
ユンちゃんのギフトの効果で凍結した地面を踏んだ3人が体勢を崩し、それを見たカーヴィンがノーラに意識を移す。
「くらえ~! レモン汁ぷっしゃ~!」
「きゃあああああ目があああああああああああああああああああっ!?」
頭上を浮遊するカーヴィンに向かって隠し持っていたレモンを思い切り握って汁を飛ばすと、ピンポイントで目にクリーンヒットしたようでカーヴィンがムスカ状態になる。
そしてこの隙を狙ってクレーネがノーラのティアラに手を伸ばす。
「取った! ティアラ取りましたー!」
「なっ!?」
「やられましたわっ!」
「目が沁みますの~っ!!」
リーダーをオレの巨体で隠し、氷とバナナで地面を滑らせ、レモン汁で目潰し……これが五大公爵家2人と唯一の庶民、そして転生辺境伯令嬢が組んだ最強チームの戦い方だぜ。
「徹頭徹尾卑怯ですわね」
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