44話 不穏な作戦
クレイン王国・王都某所――
「明日の試験はギフト使用による戦闘行為もある程度は容認されている……なるほどな」
「多少であれば、怪我をしても仕方がないと許容されると思います」
「……我らの目的の本筋からは違えるが、ここいらで五大公爵家にダメージを与えておきたいところだ」
「ククク……女は容姿が命。顔に一生消えない傷でも出来たら試験の結果など関係なく王妃候補にはなれないだろうよ」
「…………」
「おっと、お前の能力が外見だけだと言っているわけではないぞ。我が野望を叶えるため、尽力してくれていることはちゃんと評価しておるからな」
「分かっております、お父様」
「しかし、お前の補助として潜り込ませたギフト無しのヤツらは早々に不合格になってしまったか」
「ギフトの披露すら誤魔化せないようではダメだな……まあ、まだ内に潜り込んでいるヤツはいる。ギフト無しのヤツらには王宮の外から役立ってもらうさ」
「権力に胡坐をかいた公爵家どもめ、足元を掬われないようにせいぜい気を付けるんだな……!」
―― ――
「ギフト発動……キュア!」
パアアアアアアアアアア……
「お、おお~……なんかムズムズする……」
「傷が塞がっていく際はどうしても皮膚の表面がムズっとしてしまうので、こればかりは少し我慢してください」
「クレーネのギフトすごいですわ!」
「それはそれとして、ヨルさんはうら若き乙女なのに擦り傷が多すぎでございます」
「うるせーほっとけ」
王妃候補選抜会、2日目の試験を終えた翌日。
今日は1日お休みということで、明日行なわれるサドンデスマッチ試験の作戦を練ることにした。
改めてオレたちのチームメンバーは、ヨル・ギストレンジ公爵令嬢、ユン・ネピュア公爵令嬢、シスター・クレーネ、そしてこのオレ、シィナ・ゼテール伯爵令嬢。
ちなみにクレーネに苗字が無いのは孤児だからというわけではなく、この国では基本的に爵位が無いと苗字の使用が許可されていないから。
爵位に関しても公爵と伯爵しか無いので、比較的なりやすい男爵などが存在しない分、苗字持ちの人間は意外と少ない世界なのかもしれない。
とはいえ、商売で国中大ブームになるような実績を出したり、敵国との戦闘で手柄を挙げるなどすれば新しく爵位を授かることもできるし、逆に背任行為があれば降爵になったり爵位はく奪にもなる。
「クレーネは、もし爵位を授かって貴族になったらどんな苗字が良いですの?」
「えっ苗字って自分で決められるんですか!?」
「没落からの爵位復帰とかじゃなくて、新規で爵位を授かって貴族になる場合なら本人がある程度自由に決められるぜ」
「なるほど、そんな仕組みがあったんですね……」
いいなー自分で苗字決められるの。
オレだったら『シュヴァルツヴァイ』とかにするかな……シィナ・シュヴァルツヴァイ……なんかつよそう。
「そうですねえ……私のギフト『キュア』に、最上位の『プリマ』という言葉を掛け合わせて……キュアプリマとかいいかもしれません!」
「キュアプリマか~。まあ良いんじゃねえか?」
「クレーネ・キュアプリマでございますね」
なんか、キッズアニメの変身ヒロインみが強いな……
「あ、でもバシム王子の王妃になったら強制的にクレーネ・クレインになってしまいますわね」
「え~! クレが被っててなんか嫌です!」
「王様の苗字を嫌とか言うなよ……」
「それならバシム王子をお婿に迎え入れれば解決でございます。バシム・キュアプリマでございます」
「なるほど! その手がありましたね!」
いやないだろ。
———— ――――
面白かったら★とリアクションをいただけると執筆の励みになります!
———— ――――




