43話 ヒーラー確保
「お二人にそこまで言われたら仕方がありませんね。このユン・ネピュア、五大公爵家の矜持にかけてチームに加わってあげますでございます」
「そんなに熱烈な誘い方はしてねえんだが……」
「まあまあいいではありませんか。ユンちゃんがチームに入ってくれるなら心強いですわ」
「ふふーん! そうでしょうでございますでしょう!? そうでしょうでございますでしょうっ!?」
「そうでしょうでございますでしょうってなんだよ」
というわけで、明後日行われるサドンデスマッチ試験のメンバーにユンちゃんが新たに加わった。
ぶっちゃけオレとヨルのギフトは今回の試験に役立たなそうなので、物を凍らせるギフトが使えるユンちゃんが入ってくれたのはかなり助かったと思う。
「これで高身長のシィナがいるという利点がプラマイゼロになっちまったな」
「小柄なユンが入ったからでございますか? それならヨルさんがいる時点でプラマイゼロなので今はマイナスでございますよ」
「う、うるせえ!」
「なんで五大公爵家のお二人がお互いにお荷物扱いしてるんですの?」
小柄なのはむしろ小回りが利いて有利になる場合も考えられるから、個人的にはこの二人が同じチームでプラスだと思うんだが。
「おそらく、優勝候補は五大公爵家の令嬢がいるチームになるだろうな……ボクとユン以外の」
「さらっと自分たちを小物扱いしないでくださいまし。というか、他の五大公爵家の皆さまはそんなに強いんですの?」
「肩書があると無意識に指示が通りやすくなる……身分の高さは統率力の高さってな」
「特にメロコ様は要注意だと思いますでございます。選抜会の参加者の中ではシィナ様に次いで身長がありますし、ギフトも強力でございます」
五大公爵家が五大公爵家である理由の一つに、家系的に強力なギフト持ちが多いという点が挙げられる。
ユンちゃんのギフト『アイス』は勿論、ヨルのギフト『グロウ』も使う場面によってはかなりの力を発揮するだろう。
「メロコ・ギレッドのギフトは『フレイム』……気を付けないと燃やされるぜ」
「そんなの使われたらさすがに死んじゃいますの」
近づいたら燃やされるとか、メロコがリーダーだったら絶対ティアラ取れないじゃん……
せめてチームに回復役でもいればヤケドしても特攻して……
「あ、一人適任がいますわね」
―― ――
「というわけで、わたくしたちのチームに入りませんか? クレーネ」
「わ、私が入っていいんですか……!?」
ちょうど治癒系のギフトを使える知り合いが最近できたので、ヨルとユンちゃんに説明して王都の教会へ。
どうやら明日が休みということで、迎賓館じゃなくて教会の方に帰ってきてシスター業務をしていたようだ。
「アンタがクレーネか……まあ、良いだろう。ボクたちのチームの4人目になってくれ」
「ユンも賛成でございます。教会で働くシスターさんはそこらの貴族令嬢よりも体力ありそうでございます」
「ええ~なんか嬉しいです! 私なんて絶対どこのチームにも入れなくて最後まで余ると思ってたので……」
「サドンデスマッチ試験に身分は関係ありませんわ! みんなで勝利を目指しますわよ!」
「「「おお~!!」」」
こうして、明後日のサドンデスマッチ試験に向けて、五大公爵家2名+主人公系庶民シスター+元男子の異世界転生お嬢様という最高チームが結成されたのであった。
……なんで急にこんな青春スポ魂展開になってんだ?
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