41話 ハイカー第二王子
「うう~……今日の試験は辛いですの~……!」
バシム第一王子の王妃候補選抜会、二日目。
昨日よりも数が減った参加者のお嬢様たちに課された新たな試練は、勉学、舞踊、茶会の作法などなど。
要するに、この国の長たる王子の妻になるのにふさわしい教養が身に付いているのかどうかを確かめる試験だった。
「シィナは苦手だもんな、貴族令嬢の一般教養」
「お勉強はそれなりにできますのよ。ただ、お茶会の作法とか殿方とのダンスはダルいですの」
「王妃候補の選抜会で男と踊るのがダルいとか言うなよ」
「おダルいですの」
「言い方の問題じゃねえから。色々ぶっちゃけちゃってるのがダメって話だから」
昨日は初日ということもあり参加人数も多かったので、軽い説明とバシム王子の挨拶、ギフト披露試験のみで1日のスケジュールが終わったが、今日は色々とやらされてクタクタだ。
「昨日みたいにその場で合否が決まる試験でなくて良かったですわ」
「シィナのダンスの相手、なんかクルクル回ってたしな。普通ならあれで不合格だ」
「あれはお相手の殿方が踏ん張ってくれないから……」
ダンスの試験はさすがに王子様が相手をするようなことはなく、王政管理局の職員がパートナーを務めて行われた。
基本的には男性側がリードしてオレたち参加者はそれに合わせる形で踊っていくわけだが、オレは背が高くてそれなりにガタイも良いので相手の男性がこちらの扱いを持て余してしまい、あまりスマートに踊ることが出来なかったのだ。
「最後の方とかテンパってコケそうになってたよな。相手が」
「まったく、なんでわたくしが支えてあげないといけなかったのかしら」
王妃候補の試験で男らしいとこアピールしてどうすんだよマジで。
まあ、別に王妃候補に選ばれるつもりはないからどうでもいいんだけどよ。
「今日はまだなにか試験がありますの?」
「いや、後は明日のスケジュールの説明して終わりだ……っていうか朝にそういう説明があっただろ」
「あら、そうでしたっけ?」
うーん、試験内容がダルすぎてその後の説明が頭からすっぽ抜けてるわ……
「皆さまお待たせいたしました。今後のスケジュールですが、明日は試験予定がありませんので終日お休みとします。明後日のスケジュールですが……」
「それは俺から説明させてもらう」
選抜会の運営スタッフの話を遮り、一人の男性が壇上に上がる。
バシム王子によく似た精悍な顔つきに、光を反射するサラサラの金髪。
背丈はバシム王子より頭一つほど高く、鍛え抜かれた筋骨隆々の身体を持つイケメンの男……
「あ、あれは……!」
「ハイカー様ですわ……!」
唐突に現れた男性にざわつくお嬢様方。
昨日のバシム第一王子に引き続き、まさかのハイカー第二王子がやってきたのだ。
「皆さま、ご静粛にお願いいたします。それではハイカー第二王子より試験内容を説明していただきます」
「バシム兄さんの婚約者候補の座を狙う参加者諸君、俺は兄さんの弟にしてこの国の第二王子、ハイカー・クレインだ。明日の試験官はこの俺、そして試験内容は……サドンデスマッチ!」
「サ、サドンデス……!?」
え、もしかしてオレが参加してるの、王妃候補試験じゃなくてハンター試験だった……?
「ふはははは! バシム兄さんの隣を歩きたくば、王妃の座を争って勝ち取るのだ!」
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