31話 バシム第一王子
「王妃候補選抜会にお集まりの皆さま、お待たせいたしました。先ずはクレイン王国・バシム第一王子からお言葉をいただきます。バシム王子、よろしくお願いいたします」
「ああ」
しばらくして、貴族令嬢が集められた王宮のマルチホールに1人の金髪イケメンが姿を見せる。
彼こそがこの国の第一王子にして王妃候補選抜会のお相手、バシム・クレインである。
「バシム・クレインだ。皆の者、今回の王妃候補選抜会への参加、誠に感謝する。また、参加者の中には身分の高い者、そうでない者いると思うが、この場にいる以上は最初の応募を突破した実力の持ち主だ。みな一律に評価するので、各々で諍いなど起こさぬよう、肝に銘じておいてくれ」
「(いや実力ってなんのだよ)」
確かに、この場には五大公爵レベルの貴族令嬢もいれば、オレのような辺境貴族……更に、一人だけだが庶民の街娘と思われる女の子も参加している。
オレは招待を受けたが、通常は応募して書類選考的なのを通過することで参加が認められているのだろう。
きっとこの場に来られなくて涙をのんだお嬢様方もたくさんいるに違いない。
「私が王妃候補に求めるのは、王を支える強い意志を持ち、愛と勇気を信じ、何事にも屈しない心根の女性だ。今回の選抜試験でじっくりと見極めさせてもらう。誠心誠意、精進してくれたまえ……以上だ」
「バシム王子、ありがとうございました」
愛と勇気ねえ……アンパンマンみたいな女がいいってこと?
顔が濡れたらすぐに動けなくなるぜそいつ。
「本日の予定ですが、皆様のギフトを披露していただきます。どのようなギフトを持っているかは事前に申告いただきましたが、この場で披露できなかった場合はその時点で不合格となります」
王妃候補選抜会に参加する為の必須条件として『ギフトが使えるかどうか』というものがある。
これは、ギフト持ちの両親から生まれた子供はそうでなかった場合と比べて高確率でギフトを授かれるということが判明しているためで、貴族同士の結婚でも相手の子がギフトを使えるかを重視する傾向にあり、場合によってはギフトが使えない貴族の子供より、ギフト持ちの庶民を選ぶ場合もある。
「ギフトの披露は屋外の演習場で行ないますので、呼ばれるまではこちらで待機していていただきます」
「ふぅ……」
やっぱ、さすがに王子様と対面すると緊張するな。
こんな経験前世だとなかったもんな……小学校の卒業式くらい緊張したかも。
「それにしても、ギフトの披露ですか……う~ん、何を出しましょう」
「シィナはバナナでも出せばいいんじゃねえか? この国には出回ってないレアフルーツなんだろ?」
「ナイスアイディ~アですわヨル! バナナは食べて良し、投げて良しの神フルーツですものね!」
「そこまで評価してるのはお前んとこのメイドさんくらいだけどな」
まあ、それはそう。
なんでアイラはあそこまでバナナ狂いになってしまったのか……
「ヨルさんシィナさん。なんの話をしているのでございます?」
「バナナは神だという話ですわユンちゃん」
「邪教信仰で弾圧されるぞ」
「バナナ、でございますの……?」
「バナナ第一王子ですの」
「はいシィナ不敬罪~処刑確定~」
こうしてオレの処刑が確定した。いやしてないけどね。
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