29話 王妃候補選抜会
「それではこれより、バシム第一王子の王妃候補選抜会を開始させていただきます」
オレたちが王都に来た二日後、遂に本来の目的であるバシム第一王子の王妃候補を選ぶための一大イベント『王妃候補選抜会』が始まった。
王宮内にある『マルチホール』と呼ばれる施設に、今回の選抜会に参加する気合入りまくりのうら若きお嬢様方がわらわらと。
「ねえヨル、ここって普段は王政管理局が主催する社交界や舞踏会などを行なっている場所なんですのよね?」
「そうだぜ。つってもボクはマルチホールで開催されるイベントの招待は断りまくってるからそんなに詳しくないが」
「五大公爵家の娘がそれでいいんですの?」
「いいんだよ。父上と母上はちゃんと参加してるし……それに、ボクの家は五大公爵家の中でも最弱だからな」
「なんで一番最初の四天王ムーブなんですの」
むしろ最弱なら余計に招待を断っちゃダメだと思うのだが……
「そもそも、ボクみたいなちっこくて貧相な女を見ても面白くないだろ。社交界でお貴族様の坊ちゃんが興味あるのは、あっちだ」
「あの方は……」
ヨルが目線で示した先には、燃えるような紅色の髪を腰まで伸ばした美しい女性が佇んでいた。
ゼテール領の果樹園でのんびり過ごしているせいで国内情勢に疎いシィナでも流石に彼女の事は知っている。
「メロコ・ギレッド様ですわね」
「家柄も容姿もギフトの実力もピカイチ。結婚したい貴族令嬢ランキングがあったら常に1、2を争うだろうな」
五大公爵家の一角、ギレッド家。
メロコ・ギレッドはそこの娘さんで、オレとヨルの一個上の世代。
赤髪のロングヘアーに少し強気な整った顔と、八頭身のボンキュッボンなナイスバディにメロメロになってしまう男が多いかもしれない……メロコだけに。は?
「見てくださいまし、ギレッド公爵家のメロコ様がいますわ……!」
「相も変わらずお美しい赤髪……憧れますわ……」
やはり他の参加者たちからの評価も高いようで、まさに憧れの女性といったような視線を方々から受けているメロコ。
「でも見てくださいましヨル。わたくし、メロコ様に勝ってるところがありますわ!」
「なんだ? 手から最新の捕縛アイテム出せるところか?」
「バナナは捕縛アイテムではありませんの! 身長ですわ、身長!」
メロコ様も背が高いけど、実はオレのほうがタッパがあるんだよね。
胸のサイズは若干負けてるが……まあ、モデル体型ということで。
「シィナはちょっとデカすぎるんだよ。あと貴族令嬢にしてはガタイが……」
「それは仕方ありません。お屋敷の農園で作業していたらこれくらいの筋肉は付いてしまいますから」
ちなみにこんなことを言っているが、ヨルもモノ作りが趣味で色々と力を使う作業をしているため服を脱いだら結構すごい。
いっぱい働いていっぱい食う。オレたち健康優良令嬢だぜ。
「見てくださいまし、あちらにはギストレンジ公爵家のヨルクライム様がいますわ……!」
「小柄で可愛らしいですわね……!」
「お隣にいるのは護衛でしょうか?」
「強そうですわね」
オイ。
「くくっ……つ、強そうだとよシィナ……」
「王妃じゃなくて第一王子のボディーガードにでも立候補しようかしら」
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