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妹を庇って死んだ俺、辺境伯令嬢に転生する ~第四王子になった妹を迎えに行きますわ!~  作者: ふぃる汰


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28話 ズィオ族



「まさかクレイン王国の東部でそんな問題が起きていたとは驚きですわ」



「わたしも知りませんでした……」



「ゼテール領は東部方面から距離が離れているし、王国の防衛関係にはあまり関わっていないからな」



 ヨルとビッツさんから極東解放軍やズィオ族自治区の現状を聞いて、畑と牧場ばっかりのゼテール領でのんびり過ごしてきたオレとアイラは少しだけ気を引き締める。

前世でも世界中でちょっとしたテロだったり小競り合いだったりは起きていたと思うが、テレビの向こうの出来事としか認識していなかったもんな。



 しかし、今のオレは広大な農地と領民を守るゼテール伯爵家の娘。

敵国と隣接していない領地とはいえ、内部から極東解放軍のような人たちが暴れ出すかもしれないということを頭の片隅に入れておかなければ。



「ズィオ族の方たちは、わたくしたちとは違う人種なのですか? ビッツさんのお姿を見る限り、特に違いは無いように見受けられますが……」



「そうですねえ……拙者たちズィオ族は他の王国民と比べると、身体能力が高い人は多いと思いやす。ズィオ族自治区は大きな湖と森がありやして、そこで魚や動物を狩って暮らしているので走るのも登るのも泳ぐのも得意ですぜ。代わりに商売とか、頭を使うことは苦手な人が多い気がしやすね」



「最近だとその身体能力を買われて治安管理室や防衛管理室に所属しているズィオ族もいるらしいぞ」



 王政管理局の機関である治安管理室と防衛管理室は、前者が警察、後者が自衛隊のような組織だ。

どちらも身体能力と戦闘能力が高くないと出来ない仕事なので、そういうところでズィオ族が活躍しているというのは適材適所という意味では良い事なのだろう。



「あとは、ズィオ族は小柄な人が多いです。拙者も背が低いですが、ズィオ族の女性の中では平均的な方ですぜ」



「ですって、ヨル」



「ボクはズィオ族じゃない!」



 ―― ――



「それにしても、ヨルはよくビッツさんのようなズィオ族をメイドとして雇えましたわね」



「まあ、珍しいっちゃ珍しいか」



 ズィオ族自治区に隣接しているネピュア家やワイルドシップ家ならともかく、ギストレンジ家のお嬢様のメイドがズィオ族というのは中々に不思議な縁があったのだろうか。

しかも影武者まで……いや、あれはビッツさんが厨二病なだけか。



「拙者の父さまと母さまはズィオ族自治区で獲れた動物の皮を鞣してワイルドシップ領に卸す仕事をしていやした。ある日、拙者も馬車に乗って家族3人で卸しに向かったワイルドシップ領内で賊に襲われやして……」



 その時、武器製造の依頼交渉でワイルドシップ領へ向かっていたギストレンジ公爵の馬車がたまたま居合わせて賊を撃退。



「拙者の両親はギストレンジのお館様に感謝し、命を拾われたご恩に報いるためズィオ族自治区を出てギストレンジ領にやって来たんでさあ」



「な、なんて良いお話ですの……!」



「わたし、感動して少し泣いてしまいました……!」



「大げさだなあお前らは……というかそっちこそどうなんだよ」



「アイラがわたくしのメイドになった経緯ですか?」



 何だったかなあ……昔のシィナの記憶を引っ張り出さないと。



「あ、思い出しましたわ! たしか、ゼテール領内に生息しているリバーサイドベアという凶暴な動物にアイラの家が襲われたんですの!」



「わたしの両親はリバーサイドベアの餌食になり、わたしは恐怖に震えながら三日三晩飲まず食わずでクローゼットの中に隠れていました。そんな時、ご当主様がリバーサイドベアを討伐してくれて、シィナお嬢様がわたしを見つけ出してくれたんです!」



「あの時は大変でしたわね~」



「そっちの方が壮大じゃねーか」



「拙者の話のインパクトがだいぶショボくなっちまいやした」





————  ――――


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