17話 道連れ
「というわけでヨル、一緒に王妃候補選抜会に参加いたしましょう!」
「嫌だよ、なんでだよ」
バシム第一王子の王妃候補を決める選抜会の推薦招待を貰ってしまったオレは、最後まで反対する父親を退けて招待を受ける旨の手紙を王政管理局に送った。
まあ、ルトヴァン父さんを退けてくれたのはオレじゃなくてシャロウ母さんなんだけど。
「シィナはボクが王子様みたいなタイプ好きじゃないの知ってるだろ。五大公爵家だからウチにも招待状が届いてはいるが、ボクは謹んでお断り申し上げるつもりだ」
「えー。バシム第一王子、意外と筋肉ムキムキマッチョマンの変態かもしれませんわよ」
「褒めてるように見せかけて普通に不敬じゃねーか。というか、筋肉ムキムキなのはハイカー第二王子の方だろ。『武戯のハイカー』って言うくらいだからな」
【剣戯のバシム】・【武戯のハイカー】・【弓戯のリューキ】
それぞれバシム第一王子、ハイカー第二王子、リューキ第三王子の二つ名だ。
バシム第一王子は『ソード』というギフトを使って時空から剣を取り出して戦う凄腕の剣術士、ハイカー第二王子は『バルク』という肉体強化のギフトを使う武闘家、そしてリューキ第三王子は『ヒット』という命中率アップのギフトを使う弓の名手でもあるのだ。
「いいかシィナ。ボクは肉体強化ギフトの効果でなんでもかんでも筋肉モリモリになったハイカー第二王子よりも、鉱山や職人街で働くうちに自然と鍛えられた機能美が詰まった筋肉が好きなんだ」
「わたくしの胸筋もモリモリですわよ」
「お前のは脂肪の塊だろ」
「ひどいですわ! カッチカチですわよカッチカチ!」
「うら若い貴族令嬢の胸がカッチカチなのもそれはそれで嫌だろ……」
一応これでも、前世の記憶を取り戻してからは定期的に筋トレとかしているんだがな……胸筋鍛えるとおっぱいが垂れないから良い、みたいなこと聞いたことあるし。
「コホン……とにかく、ヨルも王妃候補選抜会に一緒に参加いたしませんか? わたくし一人だと不安ですの」
「お前、そんなに王妃候補の座を狙ってたのか……?」
「いえ、選抜会自体は正直言ってどうでもよいのです。どうせ受かりっこないし」
「じゃあなんで参加するんだよ」
シィナ・ゼテールとして15年を生きてきた記憶と意思があってなお、王子様と結婚したいと思えるほど夢見る乙女な貴族令嬢に意識が飲み込まれてはいないわけで。
というかシィナ自体がまだまだ色気より食い気なタイプのおてんば女子なので、正直言って王妃候補には全くもって魅力を感じていなかったりもするわけで。
「……わたくしは、タオ第四王子に、一目会いたいのです」
お祝いに献上したミカンを喜んでくれたし、こうやって推薦状まで出してくれたタオ第四王子の存在は、オレの中で更に『中に妹……美柑の意識があるのでは?』という気持ちが高まっていた。
そして、バシム第一王子の王妃候補選抜会が行われるのは王都。
それもクレインハーツ城がある王宮内だ。
「もしかしたら、選抜会の最中にタオ王子に会えるかもしれませんから」
「シィナ、お前……」
「はい……」
「……そ、そういう趣味なのか?」
「はい……はい?」
そういう趣味……そういう趣味とは……?
「タオ王子みたいな、幼い男児が好みなのか……?」
「は、はぁあっ!? 違いますよヨル! な、なに言ってるんですか!」
「動揺しているなシィナ! やはり怪しいぞ!」
「なんでちょっとマルフォイみたいな口調なんですの!?」
「誰だよマルフォイって」
この後めちゃめちゃ言い訳してオレがショタコン的なアレではないとヨルに説明した。
まあ、あんまり信じてはもらえなかったが。
「しょうがねえな……シィナがタオ王子に手出して処刑されないようにボクが付いて行って見張ってやるぜ」
「だからそういうんじゃありませんわ!」
というわけで、何はともあれオレとヨルの王妃候補選抜会への参加が決定したのだった。
待ってろよ、タオ王子……いや、美柑(仮)……お兄ちゃんが今、会いに行くからな……!!
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