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妹を庇って死んだ俺、辺境伯令嬢に転生する ~第四王子になった妹を迎えに行きますわ!~  作者: ふぃる汰


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16話 絶望お父様



「な、なんだと……シィナに、王妃候補選抜会の推薦招待状が……?」



「こちらがその知らせです、お父様」



「…………ナ゜ン゜ダ゜ト゜」



「あらあら、ショックでまともな言葉が出てこないみたいねえ」



「聞いたことない鳴き声でしたわ」



 両親が果樹園の視察から戻ってきたので、先ほど届いた王政管理局からの封書を二人に見せる。

それは、近々行われるバシム第一王子の王妃候補を選抜する試験会の招待状だった。

これは何かというと、要するに未来の王様の奥さんになる人を募集して選抜試験を行ない、合格すれば王妃候補……バシム第一王子の許嫁的なポジションになれるという激アツ玉の輿イベントというわけらしい。



「ルトヴァンさんが固まってしまったので、復活するまであたしからシィナに問題を出してあげましょう。第一問、王太子妃ではなく王妃候補なのは何故でしょうか?」



「いきなりなんですかお母様……たしか、クレイン王国の王位継承規定では第一王子の結婚と王位継承を同時に執り行うから……ですか?」



「正解よ、シィナ。よく勉強しているわね」



「えへへ……」



 国にもよるが、通常は国王の夫人を王妃、王位継承順位が第一位の王子、つまり王太子の夫人を王太子妃、そしてそれ以外の王子の夫人を王子妃と呼ぶことが多い。

しかし、クレイン王国では王位継承順位が第一位の王子の結婚と同時に王位継承を行なうと定められている為、結婚した時点で王太子は国王となり、その夫人は王太子妃ではなく王妃になる。



「それでは第二問よ。許嫁や婚約者ではなく、なぜ王妃『候補』なのでしょうか?」



「えっと……王位継承順位が第一位の王子は、結婚するまで数人から十数人の王妃候補と暮らし、最初に子供を授かった相手を第一夫人とし、子供が生まれた後に結婚し、正式に王妃となるから……ですか?」



「またまた正解よ。さすがシィナ、勤勉なのはルトヴァンさん譲りね」



「その通り! シィナは私に似て優秀なのだ!」



「あ、お父様が復活しましたわ」



 シャロウ母さんからの唐突な謎問題に答えていると、王妃候補選抜会の招待状を見てフリーズしていたルトヴァン父さんが復活する。

まあ、この国の王妃候補のシステムを知っていると、見ようによっては第一王子の酒池肉林なハーレムの一員に娘を差し出すことになるわけだし、そりゃあ反対もするか……



「よく聞きなさい、シィナ。たしかに王妃候補に選ばれるような名誉ある事になれば、ゼテール家の評価も上がるだろう。王妃になれずとも、国王の第二夫人、第三夫人に選ばれる可能性はある。子供を授かればウチは王族の末席に加わることにもなるだろう。しかしな、私はゼテール家の発展よりも、お前の気持ちを大切にしたいのだ」



「お父様……」



「というわけで、今回の件は無かったことに……」



「あなた。これはただの王妃候補選抜会の案内ではなく、サライト第二王妃とタオ第四王子の推薦付きの招待状ですよ。無かったことにできると本気でお思いですか?」



「…………オモッテオルゾ」



「すっごい棒読みですわね」



 これは多分、流石に招待を受けないわけにはいかないよなあ……

それに、タオ第四王子からの推薦があるってことはもしかしたら彼の中に美柑の意識があってオレに気付いたか、少なくとも献上した果物を気に入ってくれたからだろう。

この際もはや妹がどうとか関係なく、3才の王子様が胸を張って推薦してくれたものを無下にするわけにはいかない。



「心配なさらないでお父様。こんな辺境貴族の田舎娘、推薦されて参加したところでバシム第一王子の目には留まりませんから」



「それは第一王子の目が節穴なだけだ!」



「あなた、娘をお嫁に出したいのか出したくないのかどっちなのよ」



「出したくないが、軽く見られるのも我慢ならん!」



 なんか、父親ってこんな感じだよな。知らんけど。



 


————  ――――


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