15話 シィナ宛ての封書
友人のヨルを巻き込んでのミカン栽培作戦が終了してしばらく経った。
タオ第四王子への献上として贈られたミカンは王家の方々からも絶賛されたようで、新たなゼテール領の名産品として栽培する許可を快く出してくれたとルトヴァン父さんから聞かされた。
しかしオレはミカン献上の際に王都へと連れて行ってくれなかったルトヴァン父さんに怒っていたので、しばらくまともに口を利いていなかった為、その辺りの情報を全然知らずにいた。そんなある日……
「シィナお嬢様、封書が届いております」
「あらありがとうアイラ。どなたからかしら?」
「それが、クレインハーツ城の王政管理局の封蝋印が押されていまして……」
「へ? お、王政管理局?」
王政管理局とは、クレイン王国の王都にあるクレインハーツ城で運用されている王政機関だ。
前世の機関で例えると、都道府県庁……いや、王国全体の行政機関なので内閣府のようなものだろうか。
王政管理局の中には『管理室』と呼ばれる様々な行政機関があり、爵位を持った各貴族がそれぞれの管理室の代表を務めている。
「な、なぜ王政管理局から……それは領主であるお父様ではなく、わたくし宛ての封書ですの……?」
「は、はい。そのように宛名が記されております……」
メイドのアイラから高品質の羊皮紙封筒を受け取ると、そこには確かにクレイン王国の象徴である『ライトニングペガサス』と呼ばれる不死鳥の翼を持ったペガサスの封蝋印が押されていた。
「こちらの封書、お父様は知っていますの?」
「ご当主様は現在、シャロウ様と一緒に開拓中の果樹園エリアの視察に行っておりまして……」
「お母様と一緒に果樹園? あ、もしかしてミカンの……」
「はい、栽培予定地でございます」
なんだかんだ言ってルトヴァン父さんはオレのミカン栽培を高く評価しているらしい。
ただ、一人娘のオレが王家というか貴族社会に好印象を持たれて求婚とかの話になるのはまだ早いと考えているだけで。
世間のお父さん、あまり娘の恋愛事情に手出し口出ししちゃダメですよ。
ってか一人娘のオレってなんだよ。銀魂系女子か?
「ど、どういたしますかシィナお嬢様……?」
「そうですわね……何か急ぎの勅命かもしれませんし、取り急ぎ確認いたしましょう」
自分宛てに王政管理局から封書が届くなど15年生きてきて初めてのことなので、少し緊張しつつペーパーナイフで封を切っていく。
ちなみにこのペーパーナイフはゼテール領に生息しているカブトオオジカという動物の骨で出来ていて、オレの12才の誕生日にヨルが作ってくれたものだ。
ちょっと不格好だけどお気に入りで今でも愛用している。
「えーと、王政管理局の……王国継承管理室? 初めて聞きますわね」
「わ、わたしもです……」
「ええと、推薦招待状……シィナ・ゼテール伯爵令嬢……」
〝貴女を、バシム・クレイン第一王子の王妃候補選抜会へご招待いたします〟
「推薦人、サライト・クレイン第二王妃及び、タオ・クレイン第四王子……」
…………。
「……へ?」
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