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家出  作者: 希言
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第六章:島の夏

登場人物

•片山 れん:13歳。

•藤原 千歳ちとせ:70代。元教員、島の住人。



【シーン1】磯遊びと風鈴の音


描写

午後の浜辺。蓮は靴を脱ぎ、波打ち際で小さな貝を拾っている。遠くで風鈴が鳴り、潮風が吹き抜ける。


「学校もない、スマホも通じない、誰にも見られない。だけど、風は優しくて、波の音は心をなでてくれる。」


(蓮がしゃがんで、小さな巻貝を拾い、ポケットに入れる)



【シーン2】千歳の手料理


描写

千歳の家の台所。蓮はエプロンを着て、包丁で野菜を切っている。千歳が味噌汁をかき混ぜながら見守っている。


千歳:「ちょっと指が怖いけん、ゆっくり切りなさい。」


蓮(緊張しながら):「……これ、初めてです。」


千歳:「そうか。けど初めてでも、やってみるのはええことよ。」


(蓮が千歳の目を見て、ほんの少し笑う)



【シーン3】小さな“日常”


描写

縁側で夕食。外ではヒグラシが鳴き始め、空には茜色が広がっている。ちゃぶ台には素朴な夏野菜の料理が並ぶ。


千歳:「よう食べるようになったなぁ。」


蓮:「……こんなに落ち着いて食べられるの、久しぶりです。」


千歳:「食べることは、生きることじゃけん。」



【シーン4】ひとりでの夜


描写

その夜。蓮は千歳の許しを得て、かつての小学校の敷地に戻る。月明かりの中、草の上に寝転ぶ。


「逃げてきたはずの場所なのに、今はどこよりも静かで……どこよりも、安心できる。」


(蓮は目を閉じる。夜空に星が瞬いている)


「この島は、なにも与えてくれない。でも、なにも奪わない。ぼくにとって、初めて“息ができる”場所だった。」

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