表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
家出  作者: 希言
PR
5/7

第五章:千歳さんの秘密

登場人物

•片山 れん:13歳、中学2年生。

藤原ふじわら 千歳ちとせ:70代。元教員で、島で唯一の定住者のひとり。



【シーン1】千歳の畑仕事


描写

朝の畑。千歳は鍬を手に、小さな畑でじゃがいもの芽を手入れしている。蓮は手持ち無沙汰そうに立っている。


千歳(ふと顔を上げ):「手、空いとるなら、草くらい抜きんさい。」


蓮:「……はい。」


(蓮がしゃがみ、ぎこちなく草を引っこ抜く)


千歳:「根っこまで、な。中途半端はいかんよ。」



【シーン2】縁側での会話


描写

作業を終えた二人は縁側で麦茶を飲む。夏の日差しが穏やかに差し込み、セミの声が遠くに響く。


ぽつりと:「千歳さんは……どうして、島にひとりで?」


千歳(少しだけ目を細めて):「あんたの歳のころ、うちはここで先生をやっとった。」


蓮:「学校……あの廃校ですか?」


千歳:「そう。あそこには、昔は子どもが30人もおったんよ。毎朝、海辺を通って元気に通ってきよった。」


(少し間が空く)


千歳:「うちは……息子を、事故で亡くした。教え子だった子も、ひとり、海に……」


蓮(目を伏せて):「……ごめんなさい。」


千歳:「謝ることはないよ。生きてる人間は、残されたものを抱えて、ただ、明日を迎えるだけじゃけん。」



【シーン3】夜の語り


描写

その晩、蓮はちゃぶ台で日記を書いている。千歳は薪ストーブに火をくべ、火花がぱちぱちと音を立てる。


千歳ぽつりと:「あんた、名前は?」


蓮:「……片山 蓮です。」


千歳:「れん……いい名前じゃ。」


蓮:「花言葉、知ってますか?」


千歳(微笑む):「泥の中から、きれいな花を咲かせるんじゃろ?」


蓮:「……はい。ぼくも、そんな風になりたいと思ってました。でも、もう無理だって思って……。」


千歳:「そうやって思えるうちは、まだ咲けるよ。」


「千歳さんは、過去を抱えたまま、誰もいない島に残った人だった。ぼくは、過去から逃げたまま、ここに来た。でも、同じ空を見ていた。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ