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転生したら召使い令嬢(側室の娘)魔法が使える独立するぞ~エルかってリゼットと呼ばれた少女~  作者: 春告草


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第24話 王立アカデミーの影

『エル工房』の開店は、王都の一大事件となった。


初日から店頭に並んだ新商品、着用者の魔力回路を整える、ブレスレットや、一瞬で最上級の紅茶を淹れられる、自動温調ポットは、瞬く間に予約分まで完売。


「おいおい、たった三日で半年分の予約枠が埋まったぞ。帳簿の数字が狂ってるんじゃないか」


カウンターの裏で、レオンハルトが嬉しい悲鳴を上げながら金貨の袋を積み上げている。


「私の術式に狂いはないわ。レオン、素材の追加発注をお願いね。もっと面白いものを作るから」


工房の作業台で、エメラルドグリーンの光を指先に宿しながらくすりと笑った。


店は大繁盛。

シオン率いる忍の一族が裏の警備を完璧にこなし、表では私服姿のアーサーが圧倒的な威厳と優しさで客を案内している。


だが、平和な店内に少し毛色の違う客が訪れた。


「失礼。ここがエル工房かね」


魔導士のローブをまとった老人だった。

胸元に王立魔法アカデミーの最高幹部を示す金の紋章が光っている。


アーサーが静かに目配せをし私の前にさりげなく身を乗り出した。


「アカデミーの副学長殿が、このような場所に何の御用でしょうか」

「ほう、ベルシュタット公爵家の嫡子殿が護衛まがいの真似をされている。私は、エルという技師に話があって来たのだ」


老人は私を見下ろすと、鋭い視線を向けた。


「この店で売られている魔導具の術式を見た。あまりにも既存の魔法体系を無視している。製作者に伝えなさい。王立アカデミーの特別研究員として迎え入れる。断れば、魔導具を未認可の危険危険指定物として流通停止処分にする」


魔法省が自爆して手を出せなくなったため、学術機関であるアカデミーが特許と認可を楯に、私の技術を奪い取ろうと圧力をかけてきた。


レオンハルトの目が光り、影からシオンが気配を消して間合いを詰める。


アーサーが前に踏み出した。


「アカデミーの横暴もそこまでだ」


アーサーは氷藍色の瞳に怒りを宿して公爵家の威厳を全開にして威圧した。


「エル工房は、我がベルシュタット公爵家が全権をかけて庇護している。君たちの認可など何の価値もない。すぐに立ち去らねば、公爵家の権限でアカデミーへの研究出資をすべて引き揚げる」


「正気か、ベルシュタット卿。子どもの店のために公爵家がそこまでするのか」


「二度と彼女の邪魔をするな」


副学長は、顔を蒼白にして店を飛び出していった。


静かになった店内で、私はアーサーの袖を引っ張った。


「アーサー、ありがとう。私のためにアカデミーと争っても大丈夫なの」


アーサーはくるりと振り返ると冷酷さが嘘のように和やかな笑みを浮かべ、私の目線に合わせて屈んでくれた。


「大丈夫だ。君を脅かす者は、王宮だろうとアカデミーだろうと退ける。古い価値観に縛られた老人たちに自由なひらめきを邪魔させるわけにはいかないからね」


アーサーは、私の頬を優しく撫でてくれる。

その温もりに、私の胸は再び甘く締め付けられた。


「頼りになる騎士様ね」


私が素直に微笑むと、愛おしさに耐えかねたように瞳を揺らした。


過去の呪縛を脱ぎ捨てた私と、私を守り抜く最強の同盟者たち。

アカデミーの企みを粉砕し、私たちのエル工房はさらにその名をとどろかせていく。

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