情報
結果からいえば尋問は成功した。
捕虜から情報を引き出し敵の戦力も知ることが出来た。
ただ、問題があるとするなら、
「ほら!まだ全部話してませんよ! だからパンを! 早く!」
「「「えぇ・・・」」」
餌で釣る作戦が上手く行き過ぎたと言うことだろうか。
「ふぅ、こんなもんですかね。」
お腹いっぱいになったのか、大量のパンを食いつくした捕虜、ウィル モンスはやっと落ち着いたようだ。
「お前、 よくこんなにペラペラと話せたな。」
日高は予想外の事態に驚きを通り越して呆れている。ヴォルク、レリーもポカーンと立ち尽くしている。
「いやいや、聞いてきたのはそっちでしょう?見返りがあるなら話しますよ。 自軍の危機より自分の危機です。」
ウィルは自慢げにそう言った。
「根性腐りきってんな。 右見てみろ。」
日高が言うと彼女は素直にそちらを向く。
右側には物凄く何かを言いたげな目でウィルを見る人物がいた。
「隊長。何ですかその目! 私間違ってないと思うんですけど!」
「お前は本当に・・・ 自由になったら覚悟しておけ。戦士の精神というものを一から叩き込んでやる。」
「げ! 嫌です嫌です! そんなことされるぐらいなら一生捕虜として生きていきます!」
「いいけど飯はやれんぞ。」
「え?」
「もうパンが無いんだと。」
食料担当のレリーが言うには、今の尋問に使いすぎたのに加えて、新しく下北が来たため、パンが後一日分しかないらしい。
「隊長! 一緒に逃げましょう! このままじゃ飢え死にします!」
「一人でやれ。逃げたとしてもお前は助けん。」
その後も捕虜同士の言い争いは続いていく。
それを見た日高は
「・・・戻るか。」
この場から離れることを決意。
「じゃあ後は任せた。」
「あっはい、分かりました。あ、そうだ日高さん。出来ればストラールに戻るように言って貰えませんか?」
「ん。分かった。」
ヴォルクの頼みを了承し、ここから離れようとする。
「っと、そうだ忘れてた。 おーい隊長。」
日高は隊長と呼ばれていた捕虜に声をかける。
「だから何度も言って・・・ 何だいきなり。」
彼女は言い争いを止めこちらを見る。
「最後に質問。 名前は?」
「名前? ああ、言ってなかったな。 だからと言って言うわけないだろう。」
「答えないならもう一人の方に聞くだけだけど。」
「ちっ、ヘネーシング フランデレンだ。気安く呼ぶなよ。」
「了解。じゃあなヘネーシング。」
そういって今度こそこの場を離れる。
後ろから罵声が聞こえるが気のせいだろう。
歩きながら日高は考える。
ウィルによればリエージュの兵士はおよそ600。
それも最前線で何度も戦いをしてきた強者ばかりらしい。
それに対してこちらは12人。人数だけみれば十人中十人が前者が勝つと言うだろう。
だが、こちらには 虎 がいる
負けるなんてあり得ない
必ず村を取り返す。これ以上悲しむ顔を見ないために。
彼はそう強く決意するのだった。
この後 きちんとストラールに見張りに戻るように言ってます。
ブリクスムもついていったのでサボることはないでしょう。




