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僕がさめざめと泣いていると、けたたましく電話が鳴る音がした。
ドクターはすっと立ちあがると受話器を取る。
「もしもし? え? そう。わかったわ」
そして受話器を置くと、僕の前に戻って来た。
「拘束された人たちの中に、新田 芽生さんはいなかったそうよ」
「お姉ちゃんが、いなかった?」
「カヤブキ博士は拘束できたけれど、なにも話さないって。あなた、なにか知らない?」
そんなこと言われたって、僕は自分のことすら知らずにいたっていうのに。
「……わかりません」
それでも、生きている以上は生を全うしなければならない。
どんなに呪われた存在であろうとも。
「それと、芽生さんと仲良くしている石原 由理さん他数名も居なくなったんですって。石原さんのことならわかる?」
「わかりません」
「お見舞いに来たこともない?」
「ありません」
「そう? ならいいわ。ヘルメットの調整がついたらあなたとタケノコを地上に降ろさなくちゃいけないから、少し休んでいた方がいいわ」
「休めるわけないじゃないですかっ!!」
こんなに侮辱された人生なんて他にない。
それなのに休めだなんて。
お姉ちゃんが居なくなってしまうだなんて。
「まぁ、そう難しく考えるな、坊主。お前は生かされた。だから、どんなことがあっても生きろ」
そんなこと言われたって……。
僕が言いよどんでいると、艦内に防災ブザーが鳴り響いた。
《敵機接近! 敵機接近! 戦闘員は至急ブリッジに集合せよ》
敵? 宇宙なのに、一体誰が?
「どうやら姉さんたち、宇宙に来ちまってるみたいだな。くっそう。俺の一号機はさっきの戦闘で壊れちまってるし」
「あたしの二号機もまだ修理段階だわ」
ミヤさんが悔しそうに歯噛みする。
「そんじゃま、俺が出ますか」
隣のカーテンが開いたかと思うと、キザな優男が顔を出した。
「よ。おれテリーってんだ。よろしくな、05のパイロット」
そう言ってウィンクすると、素早い動作で医務室から出て行った。
「さてと。俺たちも一応行くか」
トラオさんが言った時、僕は敵機にお姉ちゃんがいるような予感がして身震いした。
「敵機にお姉ちゃんがいたら殺さないでくださいっ!!」
「殺さねぇよ。あんな、女子供ばっかりの戦艦には無人機が大量にばら撒かれてて近づけねぇさ」
無人機、と聞いて、僕は胸をなで下ろす。と、同時に、自分の立場についても考えるようになった。
「……無人機が相手なら。僕もゼロゴーで出てもいいですか?」
「かまわねぇが、オートで戦うとなるとテリーの四号機を撃墜しちまうぜ?」
「だったらマニュアルで戦います。ゼロゴーは、タケノコは僕のことを守ってくれるんですよね? だったら少しくらいお役に立ちたいんです」
「ほお? いい面になったな、アキラ」
この時。僕はトラオさんに認めてもらえたみたいでうれしくなった。
つづく




