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本当はお姉ちゃんに嫌われているような気がずっとしていた。
だって、僕のせいでお姉ちゃんは一人でご飯を作って食べなくちゃいけなかったし、僕のお見舞いに来なくちゃいけなかったから。
両親は僕の医療費のために必死で働いていたから、ほとんど顔も覚えていない。
それなのに僕は発作を起こす。
こんなにも脆弱な身体なのに、それでもまだ生きていることをゆるされている。
こんな僕のことを、お姉ちゃんが好きなはずないんだ。
泣きながらトラオさんたちに訴えると、ドクターは僕の背をさすってくれた。
「まぁ、そこまで思い込む必要はないんじゃない、なかぁ? なんてね」
「まだなにか隠してませんか?」
僕の言葉に、ドクターの手が止まる。
やがて、トラオさんが厳しい声でこう言った。
「いいか? タケノコに乗せるためには病院に払う以上の金がかかる。だからお前の――」
「そのくらいにしなさい。ごめんね、トラオが余計なこと言って」
「ミヤさん。隠してないで全部教えてください。そうじ(なきゃ、僕……」
心臓がうずいた。だけど、引くわけにはいかないんだ。
「ん〜。最後に両親に会えたかな?」
ドクターがそんなことを聞いてきた。
「会ってません。もうずいぶん長いこと会ってません。僕は突然ストレッチャーで移動させられて、麻酔打たれて、それから目が覚めたらお姉ちゃんがいて、タケノコに乗せられていました。
そっか、とドクターは息を吐いた。
「なにも知らされてないのだから、知らない方がいいんじゃない?」
ミヤさんは僕にすべてを知らなくてもいいと判断している。だけど、僕は全部知りたいんだ。
どうして突然病院から連れ去られたのか、どうしてタケノコに乗せられたのかを。
「全部、教えてください」
僕の訴えに、トラオさんはよし、と力強く頷いた。
「なら言おう。これは憶測でしかないが。お前の家族はどこかでタケノコの存在を知ってしまった。タケノコに乗れば、心臓移植しなくても生きることができることをも知り、そして莫大な費用がかかることも知ってしまった。お前の姉さんは、お前をタケノコに乗せるためにお前に英語とドイツ語、そして機械光化学の勉強をさせておいて、両親を保険に入れた。……つまりは、そういうことだと思う」
「それって……。僕のせいで、両親は死んだってことですか? そんなのおかしいよ。死ぬんだったら僕の方だったのに」
「そんなこと言わないで。あなたのご両親は、それでもあなたに生きていて欲しかったのだから」
ミヤさんの優しい言葉も冷たく背中を通ってゆく。
「さらに言うとだな。お前十五歳だからわかると思うが。カヤブキ博士は気に入った若い女をとっかえひっかえめかけにしている。つまりは、お前の姉さんも……」
「嘘だっ!! そんな、そんなんじゃまるで僕のせいでみんなが不幸になっているじゃないかっ!!」
もうあたらしい涙があふれてくる。僕はなんて罪深い命を助けてもらったのだろう。悔やんでも悔やみきれない。
つづく




