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新延命装置タケノコ  作者: 空羽 ミライ
第五章 新田 晶
42/46

8ー4

 僕の足が医務室に向かいかけていた時だった。艦内に警報が鳴り響く。


《敵艦体接近!! 搭乗者は至急格納庫へ集合せよ!!》


 敵艦体!?  


 まさか、オーロラ号!?


 僕は医務室に行くのをあきらめて、格納庫へ向かった。


「アキラ、敵艦隊はどんな武器を装置しているか予測がつかない。気をつけるんだぞ」


 整備士さんに言われて、襟を正す。


「はいっ。行ってきます!!」


 オーロラ号はビームライフルでクリーン・ユニバースを射撃する。


 クリーン・ユニバースは宇宙ゴミの清掃のための艦隊だ。武器なんてついてない。


 宇宙に出た僕は、想像していたよりも大きなオーロラ号へ向かって氷結砲を発射した。ビームは盾で弾き返して、氷結砲で凍らせてしまう。


『アキラ、サーシャが捕らえられているから、オーロラ号がなにかしかけてくる可能性が高いぞ。おれたちでなんとか動きを止める!!』

「はいっ」


 氷結砲を動力部あたりを狙うも、どこが動力部なのかわからなくて、なかなか動きを止めることができない。


 だけど、こんなものがあるから。だから、お姉ちゃんはおかしくなったんだ。


 いや、僕のせいかもしれない。とにかく動きを止めようと、氷結砲を撃ちまくる。


 もし、この世界にサーシャがいなければ。いや、それは彼女に失礼だ。いくら敵だとはいえ、彼女だって生きる権利はある。


 もしもっと前からお姉ちゃんと本気で向き合えていたら。


 未来はもっと違うものに変わっていたかもしれないのに。


 だけど、生きていれば、まだその可能性は残されている。


 僕は、集中して氷結砲を撃ちまくる。


 その時、ふいに二号機に後ろから攻撃された。


『このあたしが、あんたたちごときに捕まってやるわけないじゃないっ!!』

「その声は、サーシャ!?」


 自白剤も手足の拘束も無効化するというのか!?


『あたしに攻撃を仕掛けてくるなんて百年早いわ。でも、せっかくだからあんたのお姉ちゃんは返してあげる。でも、オーロラ号だけはやらせないんだから』


 サーシャの乗った二号機に斬りつけられそうになって、咄嗟に盾で斬り返した。


『嘘……。このあたしが?』


 え? と思う瞬間。二号機からびりびりと発電して、爆発飛散してしまった。それを見たオーロラ号は、クリーン・ユニバースに体当たりを決行してくる。


「くそぅ、どうして殺しちゃったんだよっ!! きちたちとおなじように、この艦には僕の大切な人たちがいるんだぞっ!!」


 僕は、トラオさんとミヤさんと一緒になってオーロラ号に氷結砲を撃ちまくった。だけど、どうしても動きを止めることができない。


 そしてついに動力部を凍り付けさせた瞬間。


 オーロラ号は自爆の道を選んだ。


 巨大な爆発に巻き込まれ、僕たちの機体が吹き飛ばされる。


「どうして?」


 僕は呆然となった。生きてさえいれば、別の人生を歩むこともできたかもしれないのに。それなのに、自爆する道を選ぶだなんて。


 オーロラ号と乗組員はテロ集団として処分される運命にあった。


 それにしても。


 なぜ自爆する必要があったのだろうか? それだけサーシャの存在に頼っていたということか? だとしたら僕は、なんと罪深いことをしてしまったのだろう。


 だけど。それでも。なぜ生きる道を選べなかったのだろうか? それだけが悔やまれる。 


 自爆に追い込んでしまったのは、僕のせいかもしれない。


 そのせいで、たくさんの人の命を奪ってしまったんだ。


「くそぅっ!!」


 僕はコンソールを乱暴に叩きつけた。


 命を守るために、命を奪ってしまったからだ。


     つづく

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