8ー4
僕の足が医務室に向かいかけていた時だった。艦内に警報が鳴り響く。
《敵艦体接近!! 搭乗者は至急格納庫へ集合せよ!!》
敵艦体!?
まさか、オーロラ号!?
僕は医務室に行くのをあきらめて、格納庫へ向かった。
「アキラ、敵艦隊はどんな武器を装置しているか予測がつかない。気をつけるんだぞ」
整備士さんに言われて、襟を正す。
「はいっ。行ってきます!!」
オーロラ号はビームライフルでクリーン・ユニバースを射撃する。
クリーン・ユニバースは宇宙ゴミの清掃のための艦隊だ。武器なんてついてない。
宇宙に出た僕は、想像していたよりも大きなオーロラ号へ向かって氷結砲を発射した。ビームは盾で弾き返して、氷結砲で凍らせてしまう。
『アキラ、サーシャが捕らえられているから、オーロラ号がなにかしかけてくる可能性が高いぞ。おれたちでなんとか動きを止める!!』
「はいっ」
氷結砲を動力部あたりを狙うも、どこが動力部なのかわからなくて、なかなか動きを止めることができない。
だけど、こんなものがあるから。だから、お姉ちゃんはおかしくなったんだ。
いや、僕のせいかもしれない。とにかく動きを止めようと、氷結砲を撃ちまくる。
もし、この世界にサーシャがいなければ。いや、それは彼女に失礼だ。いくら敵だとはいえ、彼女だって生きる権利はある。
もしもっと前からお姉ちゃんと本気で向き合えていたら。
未来はもっと違うものに変わっていたかもしれないのに。
だけど、生きていれば、まだその可能性は残されている。
僕は、集中して氷結砲を撃ちまくる。
その時、ふいに二号機に後ろから攻撃された。
『このあたしが、あんたたちごときに捕まってやるわけないじゃないっ!!』
「その声は、サーシャ!?」
自白剤も手足の拘束も無効化するというのか!?
『あたしに攻撃を仕掛けてくるなんて百年早いわ。でも、せっかくだからあんたのお姉ちゃんは返してあげる。でも、オーロラ号だけはやらせないんだから』
サーシャの乗った二号機に斬りつけられそうになって、咄嗟に盾で斬り返した。
『嘘……。このあたしが?』
え? と思う瞬間。二号機からびりびりと発電して、爆発飛散してしまった。それを見たオーロラ号は、クリーン・ユニバースに体当たりを決行してくる。
「くそぅ、どうして殺しちゃったんだよっ!! きちたちとおなじように、この艦には僕の大切な人たちがいるんだぞっ!!」
僕は、トラオさんとミヤさんと一緒になってオーロラ号に氷結砲を撃ちまくった。だけど、どうしても動きを止めることができない。
そしてついに動力部を凍り付けさせた瞬間。
オーロラ号は自爆の道を選んだ。
巨大な爆発に巻き込まれ、僕たちの機体が吹き飛ばされる。
「どうして?」
僕は呆然となった。生きてさえいれば、別の人生を歩むこともできたかもしれないのに。それなのに、自爆する道を選ぶだなんて。
オーロラ号と乗組員はテロ集団として処分される運命にあった。
それにしても。
なぜ自爆する必要があったのだろうか? それだけサーシャの存在に頼っていたということか? だとしたら僕は、なんと罪深いことをしてしまったのだろう。
だけど。それでも。なぜ生きる道を選べなかったのだろうか? それだけが悔やまれる。
自爆に追い込んでしまったのは、僕のせいかもしれない。
そのせいで、たくさんの人の命を奪ってしまったんだ。
「くそぅっ!!」
僕はコンソールを乱暴に叩きつけた。
命を守るために、命を奪ってしまったからだ。
つづく




