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新延命装置タケノコ  作者: 空羽 ミライ
第五章 新田 晶
41/46

8ー3

 懲罰房の先にある牢屋の中で、両手と両足を拘束されたお姉ちゃんを見ていた。


 久しぶりに会ったお姉ちゃんは、前より少しやつれて見える。


 まだ気を失っているけれど、拘束されたことがわかったら、お姉ちゃんはどんな顔をするだろう?


 それから一つ飛んだ牢屋に銀髪のサーシャがいる。


 怖い顔でサーシャを見つめるトラオさんの横に立ち、彼女が目覚めるのを待っていた。


「俺たち、こんな若い女の子相手にあくせくしていたのかよ」


 それは悔しいことでもあり、悲しいことだった。


 そこに、ドクターと数人の力自慢があらわれた。


「アキラには悪いけど、どっちが起きても自白剤を使うから。そのつもりで。答えによっては宇宙審議会の会議にかけることになるわ」


 宇宙審議会。名前だけは聞いたことがある。オーロラ号は、宇宙で地球の安全を脅かす存在だからだ。


 自白剤か。お姉ちゃん、本当のことを言ってくれるのかな?


 銃を構えた力自慢の四人組が、ドクターの指示でサーシャの牢の鍵を開ける。


「今のうちに打って。この子は危険な子よ」


 ドクターは自白剤の点滴を彼らに渡すと、銃を構えてサーシャの襲撃に備えた。


「なっ……」


 ちょうど目が覚めたサーシャの細い腕に、乱暴に注射針が刺さる。


 低くうめいたサーシャを無視して、点滴が始まる。


「次は新田 芽生。アキラ。ここからは見ない方がいいわ」

「……わかってます」


 これから、サーシャとおなじことがお姉ちゃんに行われる。


 それを察した僕は、牢屋から離れて歩いた。


 ふと、ナナミさんに会いたくなった。


 あの時。ナナミさんに叱られなかったら、僕はまだぐじぐじとテリーさんの死を受け入れられなかっただろう。


 だけど、自白剤って……。


 そんなことをしなければならないほど、お姉ちゃんの心は闇に飲まれてしまったのか?


 その原因は絶対に僕で、そのせいで……。


 なのに、僕は捕虜を捕まえた英雄として艦に迎えられた。


 確かにサーシャはテリーさんを殺した。


 そのまま彼女を野放しにしておいたら、クリーン・ユニバースは落とされ、地球に被害が及んだだろう。


 でも、そうなった理由はなに?


 サーシャはどうしてそこまで僕たちを滅ぼそうとしているの?


 おなじ人間なのに。


 それとも、元々そういう破滅的な性格なのか?


 わからない。


 きっと、ドクターたちもわからないから自白剤を使ったんだ。


 そうして二人はきっと、宇宙審議会へと引き渡されることとなるだろう。凶暴なテロを計画した罪として。


 僕は一人、涙を浮かべた。


 力には力を。


 それしか方法がなかったとはいえ、こんなやり方しかできないのか、心が引き裂かれる思いがした。


     つづく 



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