8ー1
格納庫で、僕もさっそくゼロゴーに乗り込み、盾と氷結砲の説明を聞いた。
宇宙空間で一定時間凍らせるというのはやっぱりすごいことらしくて、そんなすごい武器を開発してくれた整備士さんたちには感謝しかない。
サーシャ。
会ったことがないけれど、どこか狂気じみた印象を受ける。
そのサーシャの影響なのか、お姉ちゃんもおかしくなりつつあるような気がする。
それとも、最初からおかしかったのだろうか?
病院で、英語とドイツ語なんかを勉強するように言ったのも、最初から僕を宇宙に放り出すためだったのだろうか?
だけど、僕は生きている。
理由はどうあれ、生かされている。
テリーさんが救ってくれたこの命を、決して無駄にはしない。
そのためにも。
僕はアイシアに戦闘の学習をさせることにした。
整備士さんたちのアイデアで、シューティングブースのシュミレーションをゼロゴーに学習させることができると聞いた。
それでさっそく、ゼロゴーと一緒にシュミレーションしているわけだ。
もちろん、あたらしい武器である氷結砲と盾を装備した上で。
サーシャの動きは、アイシアが記憶しておいてくれた。
その動きとシュミレーションから、本格的な戦闘をイメージすることができた。
ただ、やっぱりサーシャは天才なのだと思う。
だからこそ、油断してはいけない。
僕が死ぬことは、艦のみんなを守ることができないことにつながる。
そのためにも、サーシャをなんとかしなければ。
結構長いシュミレーションの後、整備士さんの勧めでご飯を食べることにした。
思えばクリーン・ユニバースに保護されてから、ろくに食事をしていなかった。だから、今度こそきちんと食べる。
食べることは生きることだと整備士さんに教えてもらった。
「あら、アキラくん。ちゃんとご飯食べる気になったの? 偉いねぇ」
ゼロナナのプログラムを改変したミヤさんに褒められてしまうほどに、僕は食べ物に執着していなかったのだと自覚する。
かぎられた資源なのに、僕にも食べ物をあたえてくれるクリーン・ユニバースのみんなに、あらためて感謝した。
「いただきます」
食べる前にきちんとあいさつするなんて、久しぶりすぎて、自分の無礼さをわびたくなった。
ペースト状のほうれん草を口に運んだ僕は、丁寧に咀嚼して飲み込んだ。
僕は、ここでも生かされているんだ。
つづく




