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7ー3

 僕がテリーさんを殺した。


 そんな気持ちがして、また吐いた。


 ゼロゴーの中とおなじ成分が保たれているヘルメットの中が黄色く染まる。


「吐いてもテリーは戻ってこないよ」


 ドクターは冷たくティッシュを投げてよこした。


「だから、生きな。テリーの分まできちんと生きな。それで、わたしたちのことを守りなさい」


 きちんと生きる、という言葉が、じわじわと胸を満たしてゆく。


 僕が、みんなを守る。


 テリーさんの分まできちんと生きて、テリーさんの……。


「……っく」


 そこでようやく涙があふれた。


 ここにくるまでの間に、どうして泣けなかったのだろう?


「僕のせいで、テリーさんは死んだ。僕のせいなんだ。僕の……」

「そう。あなたのせいよ、アキラ。あなたを生かすために死んでいったの。わかるわね」


 ドクターは自分に言い聞かせるようにそう言った。


 生まれた時から迷惑ばかりかけてきた僕は、これから先も必死に生にしがみつく。


 それしかできないから。


「ごめんなさい、テリーさん。ごめんなさい、みんな。ごめんなさい、ドクター」


 ドクターは僕の側に近づいてきて、背中をそっとなでてくれた。


「わたしが一番最後なのはどうして?」

「わからない。けど、ごめんなさい」

「うん。ゆるさない。あなたがちゃんと生きなかったら、もっとゆるさないからね」


 僕は何回もうんと頷いた。


 吐瀉物と涙で、ヘルメットの中はぐちゃぐちゃだった。


 それからしばらくして、ナナミさんから、言い過ぎたよね、ごめんとあやまられた。


 僕は、言葉を返せなかった。


 僕が悪いことはわかっていたから。


 それで、泣いていたらいつの間にか熱が出て、それから少しして眠くなってしまった。


 眠りに落ちる寸前に、テリーさんの幻影を見た。


「よぉ、アキラ。俺の分まで生きろよ」


 だから僕ははい、と返事をした。そのつもりでいる。


     つづく

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