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新延命装置タケノコ  作者: 空羽 叶
第五章 新田 晶
34/37

7ー1

 格納庫へ行くと、整備を終えたゼロゴーがいつもより凛々しくたたずんでいた。


「アキラ、ぎりぎりだったが整備終えたぜ。新兵器、さっそく使ってくれな」


 さっきの整備士さんがにこやかに親指をあげてサムズアップする。


「ありがとうございます。行ってきます」


 僕はヘルメットを戦闘用のにかぶり直して、ゼロゴーに乗り込む。


《搭乗者、新田 晶。照合しました。オートモードにしますか?》


「マニュアルモードでお願い」


《了解しました。マニュアルモードに切り替えました。あたらしい武器の使い方を説明しますか?》


「お願い」


《総称電気ムチは、ムチを振る要領で相手を絡め取り、電気を流して攻撃します。殺傷作用はありませんが、ポイントによってダメージをあたえることができます》


「ありがとう、アイシア。ゼロゴー、出陣しますっ」


 いつもよりはっきりした声で出陣すると、整備士さんたちの声援が聞こえてきた。


 せっかくあたらしい武器を手に入れたんだ。なんとしても、バズーカ砲だけは破壊してみせる。そうしなければ、みんなを守ることができないからだ。


 宇宙に放り出される感覚が不思議で、いつも首を傾げてしまう。


 無重力って、生まれる前みたいだ。覚えてないけど。


『晶っ。今日こそあんたを叩きのめしてみせるわっ』


 ずんぐりとした機体。お姉ちゃんだ。


「ごめんね。僕、生きることに贅沢になったみたいなんだ」


 僕は、お姉ちゃんよ機体の両足に電気ムチを絡みつけて電流を流した。


『きゃあ〜っ!!』


 お姉ちゃんの悲鳴と一緒に、機体の両足が爆発して飛散する。


『あ〜あ。宇宙ゴミ出しやがって』


 トラオさんがあきれたような声を出した瞬間、お姉ちゃんの機体の後ろからやたら細い機体がバズーカ砲を抱えてあらわれた。


『そろそろやられちゃいなさいよっ』


 バズーカ砲を撃たれる前に、サーシャの機体の懐に潜り込んで電気ムチでバズーカ砲を撃破した。


『ちょっ。小癪なんだよぉ!!』


 サーシャの機体からビームサーベルが伸びてくる。殺られる。そう思った瞬間、テリーさんの四号機が僕をかばった。


 四号機はびりっと電気音を発生する。


『よぉ、アキラ。生きろよ。あ〜あ、やっと俺、ゆっくり眠れ……』


 声はそこで途切れた。テリーさんを乗せたままの機体は、爆発飛散した。


『テリーっ!!』


トラオさんの声が聞こえたけれど、爆発に巻き込まれた僕の機体は吹き飛ばされた。


 テリーさんは?


『テリー、テリーってばっ!!』


 ミヤさんの苦しそうな鳴き声が耳を貫く。


 そうだ。サーシャをやっつけなくちゃ。


「サーシャっ!!」


 だけど、電気ムチはあっさりとビームサーベルに払われてしまう。せめて、この武器だけでも飛散させていたら……。


『ふん。一機落としたから帰るわよ、芽生』


 サーシャはお姉ちゃんの機体を抱えるようにして去って行った。


 それなのに僕は、テリーさんの四号機を目で探している。


『アキラ、戻ろう。テリーはもういないんだ』


 トラオさんに引きずられるように格納庫へと戻った僕は、頭が真っ白になって、誰の声も聞こえないままでいた。


「テリーの馬鹿」


 なぜだかその時、ドクターの声だけが僕の耳に届いた。


     つづく



 

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