7ー1
格納庫へ行くと、整備を終えたゼロゴーがいつもより凛々しくたたずんでいた。
「アキラ、ぎりぎりだったが整備終えたぜ。新兵器、さっそく使ってくれな」
さっきの整備士さんがにこやかに親指をあげてサムズアップする。
「ありがとうございます。行ってきます」
僕はヘルメットを戦闘用のにかぶり直して、ゼロゴーに乗り込む。
《搭乗者、新田 晶。照合しました。オートモードにしますか?》
「マニュアルモードでお願い」
《了解しました。マニュアルモードに切り替えました。あたらしい武器の使い方を説明しますか?》
「お願い」
《総称電気ムチは、ムチを振る要領で相手を絡め取り、電気を流して攻撃します。殺傷作用はありませんが、ポイントによってダメージをあたえることができます》
「ありがとう、アイシア。ゼロゴー、出陣しますっ」
いつもよりはっきりした声で出陣すると、整備士さんたちの声援が聞こえてきた。
せっかくあたらしい武器を手に入れたんだ。なんとしても、バズーカ砲だけは破壊してみせる。そうしなければ、みんなを守ることができないからだ。
宇宙に放り出される感覚が不思議で、いつも首を傾げてしまう。
無重力って、生まれる前みたいだ。覚えてないけど。
『晶っ。今日こそあんたを叩きのめしてみせるわっ』
ずんぐりとした機体。お姉ちゃんだ。
「ごめんね。僕、生きることに贅沢になったみたいなんだ」
僕は、お姉ちゃんよ機体の両足に電気ムチを絡みつけて電流を流した。
『きゃあ〜っ!!』
お姉ちゃんの悲鳴と一緒に、機体の両足が爆発して飛散する。
『あ〜あ。宇宙ゴミ出しやがって』
トラオさんがあきれたような声を出した瞬間、お姉ちゃんの機体の後ろからやたら細い機体がバズーカ砲を抱えてあらわれた。
『そろそろやられちゃいなさいよっ』
バズーカ砲を撃たれる前に、サーシャの機体の懐に潜り込んで電気ムチでバズーカ砲を撃破した。
『ちょっ。小癪なんだよぉ!!』
サーシャの機体からビームサーベルが伸びてくる。殺られる。そう思った瞬間、テリーさんの四号機が僕をかばった。
四号機はびりっと電気音を発生する。
『よぉ、アキラ。生きろよ。あ〜あ、やっと俺、ゆっくり眠れ……』
声はそこで途切れた。テリーさんを乗せたままの機体は、爆発飛散した。
『テリーっ!!』
トラオさんの声が聞こえたけれど、爆発に巻き込まれた僕の機体は吹き飛ばされた。
テリーさんは?
『テリー、テリーってばっ!!』
ミヤさんの苦しそうな鳴き声が耳を貫く。
そうだ。サーシャをやっつけなくちゃ。
「サーシャっ!!」
だけど、電気ムチはあっさりとビームサーベルに払われてしまう。せめて、この武器だけでも飛散させていたら……。
『ふん。一機落としたから帰るわよ、芽生』
サーシャはお姉ちゃんの機体を抱えるようにして去って行った。
それなのに僕は、テリーさんの四号機を目で探している。
『アキラ、戻ろう。テリーはもういないんだ』
トラオさんに引きずられるように格納庫へと戻った僕は、頭が真っ白になって、誰の声も聞こえないままでいた。
「テリーの馬鹿」
なぜだかその時、ドクターの声だけが僕の耳に届いた。
つづく




