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新延命装置タケノコ  作者: 空羽 叶
第四章 新田 晶
32/36

6ー8

「ねぇ、アキラくん。もしゼロゴーが壊れちゃったら、あたしの代わりにゼロナナに乗ってくれる?」

「え? でも……」

「いいの。あたしが戦えないんだから、ゼロナナはは譲るわ」

「ありがとう。でも、ついさっき直したばっかりだから、まだ平気だよ」

「そっかあ。なんか壊れたって聞いたから、心配した」


 そう言ってから、ナナミさんは点滴をされた右手を僕に伸ばした。


「アキラくん。もし嫌じゃなかったら、あたしの手、つないでくれる?」

「今?」

「うん、今。なんかそういう気分」


 僕はゆっくりとナナミさんへ手を伸ばした。


 ナナミさんの熱っぽい手が、僕と握手するように重なる。


「ありがとう。アキラくんの生きてる音、聞こえるみたい」

「僕も。ナナミさんの命の音、聞こえるような気がする」


 ふふって笑って。


「さっき、もう二度と目が覚めないんじゃないかって思ったら、すごく怖かった」

「僕も寝てるとそう思う時があるよ」

「でも、生きてる」

「うん、生きてる」

「それなのに、戦わなきゃいけないのって、つらいよね。ごめんね。お姉ちゃんと戦わせちゃって」


 その言葉を聞いて、僕の目から涙があふれてきた。


「どうしたの? アキラくん。痛い?」

「……ううん。ただ、そんな風に言ってくれたの、ナナミさんだけだから。そう言って欲しかったんだなって思って」


 なんだか男なのに泣くなんて恥ずかしくて。だけど、この気持ちを隠していたくなかった。


「アキラくんはいい子だね。みんなの気持ちをちゃんと考えてるもんね」

「そんなことないよ。ただ、考えなくちゃって思ってる。そうしないと、生きにくいから」


 そういう考えはずるいような気がするけど、今さら性格を変えるなんて難しいよね。


「あたしも戦えたらよかったんだけど」

「無理しなくていいんだよ」

「うん。だから、いつも守ってくれてありがとうって伝えたかったんだ。この艦のみんなを代表して、アキラくんに言いたかったの」

「うん。そう言ってもらえるとうれしいよ。僕、頑張るからね。きっとみんなのこと、守ってみせるからね」


 そこまで話したところで、テリーさんがあらわれた。


「あれ? ドクターいないの? 仮眠させてもらおうと思ったのに」

「部屋で眠らないんですか?」

「うん。ここの方がなんか落ち着くんだ」


 そんなものなのかなぁって思った。


 これまでずっと、病院で過ごしてきた僕にとって、病院で寝るのは慣れっこだけど、テリーさんは消毒のにおいが落ち着くのかな?


 そのうちにドクターが帰ってきた。


「あ、ドクター。仮眠させて」

「お金取るわよ、テリー」

「じゃあ払いますよ」


 そんな二人のやり取りを聞いていたら、また警報が鳴った。


「ちっ。せっかく艦の補修が終わったばっかりなのにっ」


《敵機接近、敵機接近!! 搭乗者は至急格納庫へ集合せよ》


「行かなきゃ」


 そう言った僕の手を、ナナミさんが強く握った。


「帰ってきてね」

「うん。帰るよ」

「ドクター、俺にもおなじこと言ってよ?」

「さっさと行きなさいよ、テリー。あんたは必ず帰ってくるんだから」

「へいへい」


 そう答えるテリーさんと、笑いながら一緒に格納庫へと向かった。


     つづく

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