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「ねぇ、アキラくん。もしゼロゴーが壊れちゃったら、あたしの代わりにゼロナナに乗ってくれる?」
「え? でも……」
「いいの。あたしが戦えないんだから、ゼロナナはは譲るわ」
「ありがとう。でも、ついさっき直したばっかりだから、まだ平気だよ」
「そっかあ。なんか壊れたって聞いたから、心配した」
そう言ってから、ナナミさんは点滴をされた右手を僕に伸ばした。
「アキラくん。もし嫌じゃなかったら、あたしの手、つないでくれる?」
「今?」
「うん、今。なんかそういう気分」
僕はゆっくりとナナミさんへ手を伸ばした。
ナナミさんの熱っぽい手が、僕と握手するように重なる。
「ありがとう。アキラくんの生きてる音、聞こえるみたい」
「僕も。ナナミさんの命の音、聞こえるような気がする」
ふふって笑って。
「さっき、もう二度と目が覚めないんじゃないかって思ったら、すごく怖かった」
「僕も寝てるとそう思う時があるよ」
「でも、生きてる」
「うん、生きてる」
「それなのに、戦わなきゃいけないのって、つらいよね。ごめんね。お姉ちゃんと戦わせちゃって」
その言葉を聞いて、僕の目から涙があふれてきた。
「どうしたの? アキラくん。痛い?」
「……ううん。ただ、そんな風に言ってくれたの、ナナミさんだけだから。そう言って欲しかったんだなって思って」
なんだか男なのに泣くなんて恥ずかしくて。だけど、この気持ちを隠していたくなかった。
「アキラくんはいい子だね。みんなの気持ちをちゃんと考えてるもんね」
「そんなことないよ。ただ、考えなくちゃって思ってる。そうしないと、生きにくいから」
そういう考えはずるいような気がするけど、今さら性格を変えるなんて難しいよね。
「あたしも戦えたらよかったんだけど」
「無理しなくていいんだよ」
「うん。だから、いつも守ってくれてありがとうって伝えたかったんだ。この艦のみんなを代表して、アキラくんに言いたかったの」
「うん。そう言ってもらえるとうれしいよ。僕、頑張るからね。きっとみんなのこと、守ってみせるからね」
そこまで話したところで、テリーさんがあらわれた。
「あれ? ドクターいないの? 仮眠させてもらおうと思ったのに」
「部屋で眠らないんですか?」
「うん。ここの方がなんか落ち着くんだ」
そんなものなのかなぁって思った。
これまでずっと、病院で過ごしてきた僕にとって、病院で寝るのは慣れっこだけど、テリーさんは消毒のにおいが落ち着くのかな?
そのうちにドクターが帰ってきた。
「あ、ドクター。仮眠させて」
「お金取るわよ、テリー」
「じゃあ払いますよ」
そんな二人のやり取りを聞いていたら、また警報が鳴った。
「ちっ。せっかく艦の補修が終わったばっかりなのにっ」
《敵機接近、敵機接近!! 搭乗者は至急格納庫へ集合せよ》
「行かなきゃ」
そう言った僕の手を、ナナミさんが強く握った。
「帰ってきてね」
「うん。帰るよ」
「ドクター、俺にもおなじこと言ってよ?」
「さっさと行きなさいよ、テリー。あんたは必ず帰ってくるんだから」
「へいへい」
そう答えるテリーさんと、笑いながら一緒に格納庫へと向かった。
つづく




