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僕が整備を始めてから三十分くらい過ぎた頃、手の空いた整備士さんが溶接をしてくれることになった。
半分に分断された機体は、ゆっくりゆっくりとつなぎあわされてゆく。
「わぁ、すごいや」
僕が感嘆の声をあげると、整備士さんはお手の物、とばかりに溶接を終えてくれた。
僕はサンドペーパーで溶接のはみ出した部分を丁寧に磨くと、コクピットに乗り込み、ゼロゴーがまだ生きているかの確認をした。
《搭乗者、新田 晶。承認しました》
やった。あんなにボロボロになっていたのに、ゼロゴーはまだちゃんと生きている。
と、急にゼロゴーが愛しくなってきた。
「生きててくれてありがとうな、ゼロゴー」
《理解不能》
「ふふっ。それでいいよ」
コクピットから降りると、整備士さんがあたらしく考えた武器を見せてくれた。
「相手がバズーカ砲なら、こっちはムチだ。このムチを振るってボタンを押すと、電撃が走って爆発させることができる。アキラ、おまえにその役目を任せていいか? ますはバズーカ砲を狙ってくれ。あれがあると、艦が危ない」
「わかりました。やってみせます」
「なぁ、アキラ。おまえ、だんだんいい顔になってきたな」
「そうですか?」
ああ、と年配の整備士さんは囁いた。
「お姉ちゃんと戦うのに葛藤はあると思うけど、俺たちだってまだ死にたくないんだ。そこをわかってほしいんだ」
「……はいっ」
そう、誰だって死にたくない。そのために立ち向かわなければならないのなら、お姉ちゃんだって攻撃してみせる。
もう、説得しようなんて思わない。
そこで整備士さんの無線に連絡が入った。
『そっちにアキラいる?』
その声はドクターのものだ。
「ああ、いるぞ」
『ナナミの目が覚めたからこっちに来るように言ってくれるかしら?』
「ほい、任された」
無線を切ると、整備士さんは僕の手から電動スパナを取り上げた。
「あとは俺たちがやっておくから、おまえはナナミに会いに行ってやれ」
「はいっ」
と、振り向きかけたところを呼び止められる。
「軍手をはずして。なるべく清潔な状態で行けよ。ちょっとした塵でも具合が悪くなると困るからな」
それは、僕にも渚さんにも言えたことだった。
「ありがとうございます。行ってきます」
軍手を外すと今度こそ医務室に向かって歩く。
今度はちゃんと差し入れをあげたいから、一回食堂に寄ってオレンジジュースをもらってきた。
そして、医務室のドアをくぐる。
つづく




