6ー3
プレイルームから食堂に入ると、すでに昼食が用意されていた。
「ご飯もしっかり食べなさいよ」
ミヤさんはまるでお母さんのように僕に言って聞かせる。
もう、怒ってないのかな?
「あの、色々とごめんなさい」
「いいわよ。わたしもついカッとなって怒鳴っちゃってごめんね。どうしてもマイクのこと考えるとああなっちゃうの」
ミヤさんは野菜ジュースをコップから直に飲んだ。
僕は、さすがにお腹が空いていたので、今度ばかりはもりもり食べる。
お腹がいっぱいになると、冷静な判断ができてくる。
「あの。僕が07に乗ることってできるのでしょうか?」
「事前に照合しておけばね。だけど、05とは勝手が違うかもしれないわ」
ミヤさんが言うには、おなじように見える機体でも、それぞれ少しずつ違った癖があるから、それがつかめないうちは乗らない方がいいかもしれない、と話してくれた。
「なるほど。それなら僕、この後格納庫に行ってみようかな?」
「ナナミちゃんに会いに行かなくてもいいの?」
「からかわないでください。渚さんは今、骨にヒビが入ってとても苦しそうですから」
「おやまぁ。それじゃ、お見舞いに行ってみたらどう?」
お見舞いって、と僕が言いよどんでいると。
「少しくらい楽しいことがあってもいいじゃない? まぁ、アキラくんたちからすれば、普段から命について考えることばっかりなんだろうけど」
ミヤさんの言う通り、僕は医務室に行くのを戸惑っている。
渚さんが苦しんでいると思うと、たまらなくなるからだ。
「でも、お見舞いって」
「花もないけど。似たような境遇なんじゃないかしら? だからこそ、話があうかもしれないわよ?」
そんな風に言われてしまうと、渚さんは逆に、僕と話なんかしたくないんじゃないかと思えてくる。
だって、僕は自分のことを知らないし、あまりにも無知すぎて恥ずかしいくらいだから。
それに、僕の話なんて、聞きたくないかもしれないじゃないか。
「それでもねぇ。07に乗りたいのなら、彼女に許可取っておいた方がいいんじゃないかしら?」
「そういうことなら」
僕はようやく渚さんのお見舞いに行く気になった。
「命は一期一会だからね。大事にしないと」
「そうですよね。あの、僕手ぶらなんですけど、なにか持って行った方がいいですか?」
「じゃあ、オレンジジュースでも持って行ってあげたら?」
ミヤさんが指さしたのは、自動販売機だった。無料だったけど、ボタンを押す感覚は自動販売機そのものだった。
ぼくは冷たいオレンジジュースを持って、医務室に向かった。
つづく




