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新延命装置タケノコ  作者: 空羽 叶
第四章 新田 晶
27/37

6ー3

 プレイルームから食堂に入ると、すでに昼食が用意されていた。


「ご飯もしっかり食べなさいよ」


 ミヤさんはまるでお母さんのように僕に言って聞かせる。


 もう、怒ってないのかな?


「あの、色々とごめんなさい」

「いいわよ。わたしもついカッとなって怒鳴っちゃってごめんね。どうしてもマイクのこと考えるとああなっちゃうの」


 ミヤさんは野菜ジュースをコップから直に飲んだ。


 僕は、さすがにお腹が空いていたので、今度ばかりはもりもり食べる。


 お腹がいっぱいになると、冷静な判断ができてくる。


「あの。僕が07(ゼロナナ)に乗ることってできるのでしょうか?」

「事前に照合しておけばね。だけど、05(ゼロゴー)とは勝手が違うかもしれないわ」


 ミヤさんが言うには、おなじように見える機体でも、それぞれ少しずつ違った癖があるから、それがつかめないうちは乗らない方がいいかもしれない、と話してくれた。


「なるほど。それなら僕、この後格納庫に行ってみようかな?」

「ナナミちゃんに会いに行かなくてもいいの?」

「からかわないでください。渚さんは今、骨にヒビが入ってとても苦しそうですから」

「おやまぁ。それじゃ、お見舞いに行ってみたらどう?」


 お見舞いって、と僕が言いよどんでいると。


「少しくらい楽しいことがあってもいいじゃない? まぁ、アキラくんたちからすれば、普段から命について考えることばっかりなんだろうけど」


 ミヤさんの言う通り、僕は医務室に行くのを戸惑っている。


 渚さんが苦しんでいると思うと、たまらなくなるからだ。


「でも、お見舞いって」

「花もないけど。似たような境遇なんじゃないかしら? だからこそ、話があうかもしれないわよ?」


 そんな風に言われてしまうと、渚さんは逆に、僕と話なんかしたくないんじゃないかと思えてくる。


 だって、僕は自分のことを知らないし、あまりにも無知すぎて恥ずかしいくらいだから。


 それに、僕の話なんて、聞きたくないかもしれないじゃないか。


「それでもねぇ。07(ゼロナナ)に乗りたいのなら、彼女に許可取っておいた方がいいんじゃないかしら?」

「そういうことなら」


 僕はようやく渚さんのお見舞いに行く気になった。


「命は一期一会だからね。大事にしないと」

「そうですよね。あの、僕手ぶらなんですけど、なにか持って行った方がいいですか?」

「じゃあ、オレンジジュースでも持って行ってあげたら?」


 ミヤさんが指さしたのは、自動販売機だった。無料だったけど、ボタンを押す感覚は自動販売機そのものだった。


 ぼくは冷たいオレンジジュースを持って、医務室に向かった。


     つづく

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