6ー1
斬り裂かれてしまったゼロゴーごと、僕はクリーン・ユニバース艦へと戻ってこれた。
「アキラ、生きてるか?」
トラオさんが心配そうに声をかけてくれた。
「爆発しなくてよかったけど、もうこの機体は直せないわね」
ミヤさんはさみしそうに囁いた。
「まぁ、命があるだけいいってことよ。だろう?」
テリーさんの言葉で、渚さんのことを思い出した。
僕は乱暴にゼロゴーから飛び出すと、早足で医務室に向かった。
「ドクター、渚さんは?」
「しぃっ。まだ眠ってる。レントゲンを見た限り、どっちもヒビが入っている程度だけど、固定が難しい場所だから、相当痛いはずだわ」
「そんな。僕がもっと早くゼロゴーで出ていたら」
「でも、負けちゃったんでしょう?」
あまりにもあっさりと結果をいいのけられて、息が詰まった。
「壊れたんでしょう? あなたの05」
「そうですけど……」
「相手はまた女の子。それなのに負けるなんて自分が情けないって思ってる?」
「……はい」
「それでいいんじゃないかしら? 日々、努力しても確実に結果を出せる人なんていないもの」
でも、と言いかけて、ドクターにとめられてしまう。
「でもはなし。結果がすべて。プレイルーム見たことないでしょう?」
「プレイルーム?」
「そう。わりと本格的なシューティングブースがあって、みんなそこできたえてるのよ。行ってみたらどう?」
「じゃあ。でも、あの。渚さんは……」
「大丈夫よ。今のところ感染症にかかっている様子もないし、たたとても痛いってだけ」
痛がる渚さんを置いて、自分だけプレイルームでシューティングブースにいるのは不謹慎な気がした。
だけど。この艦を守るためには、僕がもっと強くならなければいけない。
あの人……。サーシャと名乗った女の子は、人を殺すことをためらわない。そして、僕を殺さずにいたぶった。
さらに、お姉ちゃんを籠絡した。
ゆるせない。
でも、今の僕じゃ、まだ勝てないから。
「また気ます」
「うん。ゆっくりしておいで」
「はい」
医務室を出たところで、ミヤさんに見つかる。
「アキラくん。今日はよく頑張ったね。もう懲罰房に戻らなくていいよ」
「ありがとうございます。それで僕、これからプレイルームに行こうと思って」
「じゃ、一緒に行こうか?」
僕は背の高いミヤさんの横について歩いた。僕の歩幅に、ミヤさんがあわせてくれるような気がした。
「シューティングブースって、どんな感じなのですか?」
「ん〜? コクピットの中にいるみたいな感じがするの。でも、きみはもう05には乗れないでしょう?」
また言われてしまった。
「それでも。僕は自分をきたえておきたいんです」
「うん。そういうの、いいよね」
なんだかミヤさんにゆるされたような気がした。
つづく




