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新延命装置タケノコ  作者: 空羽 叶
第四章 新田 晶
25/37

6ー1

 斬り裂かれてしまったゼロゴーごと、僕はクリーン・ユニバース艦へと戻ってこれた。


「アキラ、生きてるか?」


 トラオさんが心配そうに声をかけてくれた。


「爆発しなくてよかったけど、もうこの機体は直せないわね」


 ミヤさんはさみしそうに囁いた。


「まぁ、命があるだけいいってことよ。だろう?」


 テリーさんの言葉で、渚さんのことを思い出した。


 僕は乱暴にゼロゴーから飛び出すと、早足で医務室に向かった。


「ドクター、渚さんは?」

「しぃっ。まだ眠ってる。レントゲンを見た限り、どっちもヒビが入っている程度だけど、固定が難しい場所だから、相当痛いはずだわ」

「そんな。僕がもっと早くゼロゴーで出ていたら」

「でも、負けちゃったんでしょう?」


 あまりにもあっさりと結果をいいのけられて、息が詰まった。


「壊れたんでしょう? あなたの05(ゼロゴー)

「そうですけど……」

「相手はまた女の子。それなのに負けるなんて自分が情けないって思ってる?」

「……はい」

「それでいいんじゃないかしら? 日々、努力しても確実に結果を出せる人なんていないもの」


 でも、と言いかけて、ドクターにとめられてしまう。


「でもはなし。結果がすべて。プレイルーム見たことないでしょう?」

「プレイルーム?」

「そう。わりと本格的なシューティングブースがあって、みんなそこできたえてるのよ。行ってみたらどう?」

「じゃあ。でも、あの。渚さんは……」

「大丈夫よ。今のところ感染症にかかっている様子もないし、たたとても痛いってだけ」


 痛がる渚さんを置いて、自分だけプレイルームでシューティングブースにいるのは不謹慎な気がした。


 だけど。この艦を守るためには、僕がもっと強くならなければいけない。


 あの人……。サーシャと名乗った女の子は、人を殺すことをためらわない。そして、僕を殺さずにいたぶった。


 さらに、お姉ちゃんを籠絡した。


 ゆるせない。


 でも、今の僕じゃ、まだ勝てないから。


「また気ます」

「うん。ゆっくりしておいで」

「はい」


 医務室を出たところで、ミヤさんに見つかる。


「アキラくん。今日はよく頑張ったね。もう懲罰房に戻らなくていいよ」

「ありがとうございます。それで僕、これからプレイルームに行こうと思って」

「じゃ、一緒に行こうか?」


 僕は背の高いミヤさんの横について歩いた。僕の歩幅に、ミヤさんがあわせてくれるような気がした。


「シューティングブースって、どんな感じなのですか?」

「ん〜? コクピットの中にいるみたいな感じがするの。でも、きみはもう05(ゼロゴー)には乗れないでしょう?」


 また言われてしまった。


「それでも。僕は自分をきたえておきたいんです」

「うん。そういうの、いいよね」


 なんだかミヤさんにゆるされたような気がした。


     つづく

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