5ー5
痛み止めを打たれた後、渚さんは一気に身体の力を抜いて眠りについた。
「ごめんね。今はこんなことしかできないんだわ」
渚さんを見て、僕はなんの苦もなく今を生きていることが恥ずかしくなってきた。
と、同時に彼女を守りたい衝動に駆られた。
「アキラどうする? このまま艦のこうげきがつづくと、ナナミの骨はもっと折れるかもしれないよ。最悪の場合、肺血症で死ぬかもしれない。それでいい?」
ためされている。僕は、お姉ちゃんと戦えるのか?
「ナナミだって、ここまで体調が悪くなければ07に乗って戦っていたかもしれないんだ。ミヤを攻撃したことを後悔しているからね。きみは、どうすんの?」
「僕は……」
『クリーン・ユニバースへ。トラオだ。艦の損傷が激しいのと、敵機の有人ロボットが二体もある。一つはアキラの姉ちゃんのと、あと一つはわからんが、おそろしく強いっ』
トラオさんの報告が聞こえると、艦が戦慄した。
このままだと、艦ごと新型機に爆撃されるおそれがある。それは、ここにいるみんなの死を意味する。
「僕、出ます。ゼロゴーに乗せてくださいっ」
「いい顔になってるじゃん、アキラ」
ドクターはそう言うと、僕を優しく追い出してくれた。
僕は早足でガレージへ向かう。すでに一号機と四号機、それにようやく整備を終えた二号機が出陣していた。
「やれるのか? アキラ」
整備士さんに問われて、力強く頷く。
「はい。僕にも守りたい人がいるんです」
「たのむぞ。このまま艦が攻撃されたら、最悪ドッカーンだからな」
「そんなことさせません」
クリーン・ユニバースのみんなは、宇宙で漂うしかない僕を拾ってくれた。そして、優しくしてくれた。
僕はその優しさをあたりまえのように受け取りすぎていたんだ。
そのことを反省するなら、実力で示すしかない。
「アキラ、シールドはあるが盾も装備したし、ビームライフルも装備した。おまえがその気になれば、タケノコは守ってくれるし、この艦も助かる。まかせたぞ」
「はいっ」
そして僕はゼロゴーに乗り込んだ。
《搭乗者、新田 晶。照合完了しました。オートモードですか? マニュアルモードですか?》
「マニュアルで」
《了解しました。マニュアルモードに変更しました》
「行きますっ」
レーンの上に乗った僕は、ゼロゴーが受ける圧力を極力我慢した。
僕がとめなきゃ、みんなが死ぬかもしれない。そんなのはダメだ。
だけど。戦場に出ると、いきなり無人機に攻撃されてしまう。
無人機は一つずつはとても小さいけど、蚊に刺されるようにたくさんあるから厄介なんだ。
僕は無人機をビームライフルでなぎ払う。
「やるんだ。僕はみんなを守るんだっ」
つづく




