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「彼女の名前は渚 奈々美。アキラより一つ年上の十六歳よ」
渚さん。僕は口の中で彼女の名前をつぶやいた。ゼロナナの搭乗者が女の子だったなんて。
「彼女はどこが悪いんですか?」
僕が聞くと、ドクターはやれやれとでも言うように肝臓、と答えてくれた。
「生まれつき肝臓がよくないのよ。その点ではアキラとおなじね。で、その彼女を攻撃せざるを得なかったのがミヤ。ナナミはマニュアルに切り替える知識すらなかったってわけ」
そっか。それでミヤさんの二号機が壊れてしまっていたんだ。
「それで、その。奈々美さんは元気なんですか?」
「とりあえず意識を取り戻しただけよ。まだ話もできないし、自分がどこにいるのかもわかってないわね」
目が覚めて、いきなり知らない場所だったら、僕とおなじように混乱したんだろうな。
「奈々美さんに会うことはできますか?」
「ん〜、まだ辞めておいた方がいいわよ? 女の子って、すっぴんの顔見られるのを極端に嫌うから」
そんなものなのかなぁ?
「それじゃ、話を変えて。ぼくのゼロゴーの損傷はどんな感じですか?」
「今整備中だけど、たいしたことないわね。さすが搭乗者を守るタケノコだけあるわ」
そうなんだ? 無人機にたくさん攻撃されていたから心配したけど、よかった。
だけど。
それじゃあ、お姉ちゃんと戦う理由になってしまうな。
できれば戦いたくないけど、お姉ちゃんがこの艦の人たちを傷つけるのはゆるせない。
だって、クリーン・ユニバースのみんなはすごく優しくしてくれたから。
本気で僕のことを心配してくれるから、厳しいことも言ってくれるんだ。
「クリーン・ユニバースは宇宙ゴミの回収だったが、オーロラ号のおかげで、またゴミが増えそうだな」
笑いながらテリーさんが言った。
宇宙ゴミ……。
「タケノコに乗っていた他の五人は本当に亡くなったのですか?」
「ええ。大気圏突入の際に機体の損傷が激しかったのと、病気が悪化したのと両方でね。遺体は宇宙にと思ったけれど、霊安室にいてもらってるわ」
僕意外の五人は、確実に亡くなっている。
お姉ちゃんはそのことも知っているのかな?
週に一回の物資の配給の時の声も、どこかぎこちなかった。
今は、お姉ちゃんのことは考えたくない。つらくなってしまうから。
僕は、どうして生かされてしまったのだろう?
つづく




