4ー1
お姉ちゃんが宇宙にいた。あんなに会いたかったのに、今では敵になってしまった。
僕はゼロゴーに乗る意外に使い道がないのだろうか?
壊れものな身体が憎い。
誰よりもなにも知らないままだった。
「まさか敵艦体があったとはな」
トラオさんは心底意外そうにそうつぶやいた。
無人機と交戦して、疲労した僕を、金魚鉢のようなヘルメットが癒してくれる。
「すごいですね、このヘルメット」
「おい、アキラ。無理しなくていいんだぜ? これからはオーロラ号と戦うことになるんだ。まったく、芽生が居ないって時点で、宇宙にいるってことを気づけなかった自分が恥ずかしいぜ」
テリーさんはキザったらしく前髪をかき上げると、僕が今日の初陣で生き残れたことを褒めてくれた。
「取扱説明書は全部覚えてしまったので、無人機だったらいくらでもやっつけますよ」
「姉さんが来たらどうする? お前、戦えないだろう?」
「はい、はあ〜いっ!! 悪いけどこっちで話してもいいかしら?」
トラオさんの言葉尻を奪ったミヤさんは、とても小さな部品を手に持っていた。
「やっぱりというか、GPSが付いてたからこっちの動き丸わかりだったわ、アキラくん」
GPSだなんて。
「アキラくんが搭乗すると、データがオーロラに送られるようにプログラムされていたから、それもぶっ壊しておいたわ」
「……ごめんなさい」
僕のせいで、みんなを危険な目にあわせてしまった。
それなのに誰も僕を責めない。これじゃ、病院にいるのと変わらないじゃないか。
僕はもっと、みんなの役に立ちたくてゼロゴーに乗ったのに。
「僕がゼロゴーに乗らなければよかったですよね」
「それは違うかな?」
ドクターは僕に紅茶を淹れてくれた。ヘルメットを外すと、案外疲労感が取れていることに気がついた。
「05にはアキラくんじゃなきゃ受け入れてくれないんだよ。他の人間じゃ動かない。最初に乗った時、棘が刺さったような感じがしたでしょう?」
「……そういえば、そうかも?」
「やっぱりね。その時にアキラくんの遺伝子情報が書き込まれているから、他の人が乗っても動かないよ」
そうなんだ? ゼロゴーなら誰でも受け入れるのかと思っていたのに。
「あの、それで……」
なんと言えばいいのかわからなくて、言いよどんでいると、ドクターがそうそう、と大声を張り上げた。
「ついさっき、07の搭乗者が目を覚ましたよ」
まさにその話を聞こうと思っていたところだった。
つづく




