3ー5
「一人は宇宙艦体クリーン・ユニバースに撃墜されちゃったんだけど、晶くんが乗る05は成功して欲しくてね。今度こそデータが必要なの」
どうして? と乾いた口から出てきた言葉を、優しい笑顔で包み込んでくれる。
「今のところ、タケノコは延命装置だけれど、このデータ次第では、有人ロボットの製作も可能になるの」
「有人ロボット?」
「そう。タケノコは攻撃されたり、敵機が近づくと、自動で防御するために人型ロボットに変形することができるの」
「でも、そんなロボットなんてどうするの?」
あたしは急に怖くなってきた。
「うん。実はわたしたちってカヤブキ博士と別行動しているのよ。わたしの設計で宇宙戦艦作っているの」
「その戦艦でクリーン・ユニバースを攻撃するの?」
「それもあるけど。地球を手に入れたいなって思ったら、人型兵器の方が有利じゃない? これまでわたしたちのことをさげすんできた連中を始末したり、平服させたりするのって、わたしの夢なんだ」
「夢?」
その時、サーシャは初めてウィッグを取った。流れるような銀髪が、日本人離れしていてとても美しかった。
「綺麗」
「ありがとう。でも、この髪の色と瞳の色でずいぶん差別されてきたのよね。だから、仕返ししたいの。芽生にはいない? 復讐したい相手」
ふいに晶の顔が浮かんできた。
晶ぎ憎い。簡単に殺してしまいたくないほど、なぶり殺しにしたい。
「いるわ」
「じゃあ、芽生もわたしの仲間だね。戦艦の名前はオーロラ。どう? 素敵でしょう?」
こくりと頷くと、サーシャがくしゃくしゃとあたしの頭をなでてくれた。
「芽生はいいな。綺麗な黒髪に綺麗な茶色の瞳で」
「そんなことない」
普段からケアしているのは、自分のためだから。
「一緒に復讐する?」
「うん」
「わたしたちのこと、カヤブキ博士には秘密にしてね。あいつはただのダミーだから」
「ダミー?」
「本当の天才はわたしよ? 戦艦を作ったり、タケノコを製作したのはこのわたし。カヤブキは大人たちの目くらましでしかないの」
でもこれは誰にも秘密だよ、と微笑んだ。その笑顔に、安心感が生まれる。
あたしだけしか知らないサーシャの秘密に、胸が高鳴る。
サーシャとなら、晶を苦しめることができる。
すべてを失うあたしができる唯一の方法は、それしかないと思った。
つづく




