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新延命装置タケノコ  作者: 空羽 ミライ(旧空羽 叶)
第一章 新田 芽生
11/39

3ー5

「一人は宇宙艦体クリーン・ユニバースに撃墜されちゃったんだけど、晶くんが乗る05(ゼロゴー)は成功して欲しくてね。今度こそデータが必要なの」


 どうして? と乾いた口から出てきた言葉を、優しい笑顔で包み込んでくれる。


「今のところ、タケノコは延命装置だけれど、このデータ次第では、有人ロボットの製作も可能になるの」

「有人ロボット?」

「そう。タケノコは攻撃されたり、敵機が近づくと、自動で防御するために人型ロボットに変形することができるの」

「でも、そんなロボットなんてどうするの?」


 あたしは急に怖くなってきた。


「うん。実はわたしたちってカヤブキ博士と別行動しているのよ。わたしの設計で宇宙戦艦作っているの」

「その戦艦でクリーン・ユニバースを攻撃するの?」

「それもあるけど。地球を手に入れたいなって思ったら、人型兵器の方が有利じゃない? これまでわたしたちのことをさげすんできた連中を始末したり、平服させたりするのって、わたしの夢なんだ」

「夢?」

 

 その時、サーシャは初めてウィッグを取った。流れるような銀髪が、日本人離れしていてとても美しかった。


「綺麗」

「ありがとう。でも、この髪の色と瞳の色でずいぶん差別されてきたのよね。だから、仕返ししたいの。芽生にはいない? 復讐したい相手」


 ふいに晶の顔が浮かんできた。


 晶ぎ憎い。簡単に殺してしまいたくないほど、なぶり殺しにしたい。


「いるわ」

「じゃあ、芽生もわたしの仲間だね。戦艦の名前はオーロラ。どう? 素敵でしょう?」


 こくりと頷くと、サーシャがくしゃくしゃとあたしの頭をなでてくれた。


「芽生はいいな。綺麗な黒髪に綺麗な茶色の瞳で」

「そんなことない」


 普段からケアしているのは、自分のためだから。


「一緒に復讐する?」

「うん」

「わたしたちのこと、カヤブキ博士には秘密にしてね。あいつはただのダミーだから」

「ダミー?」

「本当の天才はわたしよ? 戦艦を作ったり、タケノコを製作したのはこのわたし。カヤブキは大人たちの目くらましでしかないの」


 でもこれは誰にも秘密だよ、と微笑んだ。その笑顔に、安心感が生まれる。


 あたしだけしか知らないサーシャの秘密に、胸が高鳴る。


 サーシャとなら、晶を苦しめることができる。


 すべてを失うあたしができる唯一の方法は、それしかないと思った。


     つづく


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