マリアたちの選ぶ途 -Le choix du saint-・12
イリヤさんが懸念を見せてから、少し後の聖院。
ベラちゃん…つまりは痴女皇国皇帝のマリアヴェッラ・ボルジア・ワーズワースから私の元に、連絡が入りました。
(聖院姉さん。こないだイリヤさんが言ってた件ですが、NBではルーン大陸の魔族やリュネ族の戦力化に着手しました…ただし、いざという時のNB防衛戦力としての組み込みとなります…)
ふむふむ。
これ…何気に重要な連絡だからこそ、ベラちゃんはわざわざクァンタムリンクでの連絡をくれたんでしょう。
つまり、痴女皇国側はNBに拠点を移すだけではなく、軍事力すら本格的に提供する方向という事ですね…。
で、ベラちゃんが送ってきた資料を拝見します。
まず、リュネ族としては最強のイリヤさんが十億卒かつ剣聖で、聖剣を使用可能。
そしてこの聖剣の最大出力は、100メガトン級の熱核融合爆弾…水爆を起爆させて発生した熱線と衝撃波を発射点における直径数センチに収束して放射する部類の…いわば核融合で発生したプラズマをビーム状にして投射する熱線砲というべき代物で、使う場所を選びますが、かなりの強力兵器となります。
何せ、発射時の熱線温度は、一億度にもなるそうですので。
そして、出力こそ聖剣に劣るものの、概ね同様の原理で作動する爆炎剣1本と豪剣が4本に、現段階で確保されている炎剣という熱線投射兵器が約1,000本。
(ただし、炎剣は量産可能となりました)
うわぉ。
しかし、考えてみれば聖院金衣…例えば七代目様が鬼汗国の侵攻軍ごと、とある半島を吹き飛ばした際にも類似攻撃を放っていたのがはっきりしています。
ですので、リュネ族以外にも、こういうことが出来る人材が痴女皇国にも数名いる、ということです。
まぁ、あたしやアルトも白金衣の力で似た事はできなくもありません。
(しかし、フランスや湯田屋国で編成してもらっている女官部隊同様に兵士として組織化した上で、場所をあまり問わずに活動できるとなれば話は別です。これも、イリヤさんやロッテさんエマネさんに強力してもらった模擬戦闘実験で判明していますが、リュネ族も魔族も、その飛行原理を活かせば大気圏外での推進飛行が可能ですよ…)
しかし、そこまで研究を進めるのは良いとしても、実際に物騒な事が起きるもんでしょうか。
(お気付きになりました?)
そりゃ気付くわよベラちゃん。
痴女皇国と提携国家、そして連邦政府上層部が動かせる戦力であれば、引越しに伴うゴタゴタで揉めて戦争を仕掛ける反対勢力が現れたとしても何とかなると思うし、第一あなた方はそういう事が起きないようにあらかじめ反対しそうな人々から反抗できるだけの力を削いでるでしょ?
(ふふふ…姉は聖院側で揉めた時の事も想定してますからね…)
そうなのです。
黒マリと繋がってる私が、これに気づかない訳がないのです。
しかし、言い換えれば「揉める」のが解っているのですから。
(でもですよ。聖院のねーさんとしては、自分たちで何とかすると言った人については自主性を重んじる訳でしょう…)
(それで済むほど単純じゃないと思うのよねぇ…難癖つけて色々と支援を要求してくると思うからこそ、一旦は突き放す方向で行こうってわけよ…)
情けは人の為ならず。
ただ…地球に残った人々の間で内紛になったり、あげく弱体化して他者の進出を許せば、私たちの書いた筋書き通りにならないのですよ。
そのためにも、いざという時に動かせる駒を聖院・痴女皇国で共有しておくのを黒マリからは言われています。
(本当は白姉さんが軍事力を過剰に持てないせいもあるんですよねぇ…)
(聖院規範にあるからねぇ…女官は人の世を直に采配すべからずに触れるのよねぇ、兵力の過剰な保有…)
(まぁ、家族会でも規範でがんじがらめにしてたらまずい場合もあると思ったからこそ、黒ねーさんの暴走を止めなかったんでしょう…)
そうです。痴女皇国の存在自体が、もうありとあらゆる局面で聖院規範をぶっちぎっているからこそ、逆に「出来る限り聖院規範に準拠して事を進める」聖院のままで時を進める分岐を作ったのですよ…。
いえ、そのためにあたし達は白と黒に別れたようなもの。
ですから、良かれ悪かれ「いよいよまずい」という時でもないとなかなか手を出せないこともあるんです…。
(でもですよ。こっちはあたしやマリアンヌちゃんスザンヌちゃんもいますし、NBについてはあたしやアグネスおばさまやイリヤさんがかーさんを助けて体制を作ることになるのも確定してますけどね…聖院の方はどうするんですか…)
(ベラちゃん…うちにもしほ子やシェリーやサリーがいてるの忘れたの? まぁ、懸念はわかるんだけどね…ただ、地球再生の際の居残りの面子については基本、痴女皇国側でも聖院側でも決まってる話だから…うん。痴女皇国世界の地球でもそうだと思うけど、聖院でもあたしとアルトが居残り担当だから)




