マリアたちの選ぶ途 -Le choix du saint-・6
で。
横田基地近くの某・チェーン系カレー屋さん。
じゃなくて、居酒屋さん。
「大将〜予約の高木さんたち4名お越しですー」
「はいらっしゃい、座敷どうぞ!」
ええと。
こんな普通の居酒屋…お魚が美味しいのですが、それでも地球の存亡がかかった話をすべき場所なのか。
しかし、ジーナかーさんによればですね、かつての沖縄のママの店というショークラブ…今はクラブジュネス・沖縄波の上店ですけど、そこと同じで防諜措置や機器が備わったという、言わば連邦宙兵隊や宇宙軍幹部関係者の密談場所の一つらしいのです、このお店…。
まぁともかく、奥の座敷部屋に案内されたあたしたちはまず、とりあえず生とか突き出しの後で、刺身盛り合わせだの何だのをひとわたり注文してふすまを閉めてしまいます。
(で、マリアちゃんから聞いたんだが…まぁ、何をどう転んでも揉めるのは間違いない。悶着なしに進む話じゃないってのは、俺の段階で既にわかるってもんだ…だろ?)
で、昨今はゴルディーニさんの秘書官に就任方…ドミニクさんですが、痴女皇国世界の方のドミニクさんとはまた違う方ですよ。
Dominique Bollène ドミニク・ボレーヌ Single Suction(Limited ten thousand)一人卒(限定万卒) Pure female Visual(slut Functional restriction). 女性外観(痴女機能制限者) Senior knights, Holy Temple. 聖院上級騎士
(ゴルディーニ閣下。しかしながら小官には少し思いつきがあります。披瀝、よろしいでしょうか)
(構わん。ジーナより建設的な事が言えるのであれば俺も喜んで拝聴しよう)
(おっさん…相変わらずハゲてるからゆうてな…)
(まぁ待て、お前を殴ってる余裕なんかあるような件だぞ…まさにこれこそがその、高度知性体とか外星人とやらが言う「身内の意見も統一せずに話をしに来るな」って事だろ…)
(結局殴るんはやるんかい…)
うん、ゴルディーニさんは正論言ってると思うからね。
かーさんもいつもの漫才、しなくてもいいからね。
(で、フランス共和国ではかつて極東学院を設立して現地詳細を研究するほどに東南アジアに手を伸ばした他、アフリカやカリブ海、そして南米北部に海外領土を得るまでには拡大活動を推進できておりました…しかし、隣国イタリアのように移民を南米や北米に送り出すような切迫した貧窮状態にまでは陥ってはおりませんでしたかと…)
(確かに貴官の言う通りだな。ナチ野郎に国を明け渡すなどした結果の亡命はともかく、経済事情で海外へ渡航した共和国民の数は他国より圧倒的に少なかったはずだ)
ドミニクさんやゴルディーニさんは何を言いたいのでしょうか。
ただ、私には思い当たる節があるのです。
そう、シチリア・マフィアやイタリアンマフィアの北米での活動はもちろん、名作童話として知られる、少年がお母さんを訪ねて南米まで旅をするお話ですよ。
つまり…日本や移民推進政策を採用した他の国も事情は同じようなものですけど、当時のイタリアは貧しかったのです。
そして、思い出す事があるんですよ…。
ゴルディーニのおじさんも、ご先祖様はお仕事を求めてイタリアからストラスブールに移り住んだイタリア系移民なんです…。
(なぁるほど。切羽詰まれば移民として移住を考える者もそりゃ、出てくるだろうな…俺の祖母の最初の夫だった祖父は農夫で、自動車いじりどころか学校にも通わせてもらえなかったらしいし…)
(閣下。今は確かにNBとの実質国交樹立や向こうの旺盛な需要に起因する輸出拡大もあり、我が共和国だけでなく連邦自体が経済回復をみております。しかし…マリアリーゼ陛下が言われる寒冷化問題が立ちはだかるならば、話は全く別ではないかと…)
(ま、そいつはポワカール閣下に上申すべき話だ。だが…NBだって宇宙軍や宙兵隊への武器供与や船舶リースはもちろん、ノックダウンやライセンス生産で利益を上げている立場だろ。民間事業にしても然り、向こうの産品を輸出することで多数の現地企業が利益を上げてるはずだからな)
そうです…実は痴女皇国への輸出もあって連邦から進出した企業の現地法人が経営する工場が操業してるんですよ…。
(なら、そうした関連産業の更なる移転を推進する形でワーズワース首相閣下に移民のお話をさせて頂くって筋書きは書けるはずだぜ。マリアちゃんもそう思わないか?)
(ですよねー…この件はかーさんと一緒に、祖父に話をしてみますよ)
で。
この打ち合わせというか密談。
あたしがアンテナ役になりながら、心話でやってます。
ですから、見た目はみんな黙々とお酒飲んだり出された料理をつまんでいるという、一種異様な光景になってるはずなんですよ。
(やっぱり生の冷酒はサシミとの組み合わせに限るな。ジーナ、これNBでも食えるのか?)
(一応居酒屋が向こうにいくつか出来とる。寿司屋兼用やけどな)
で、何気ない会話ですけどね。
これも実は、向こうの情勢や国民生活を推測できる重要事項、いっぱい含まれていますよ。
(まず、NB本星の生物は魚類を含めておおむね地球から持ち込まれたものなのよねぇ…)
そして樹木についてはサン=ジェルマンさんが予め準備した、地球系の品種のものがそこそこ。
ただし、NB本星の全ての陸地を緑化してはいないのです。
(実は痴女皇国地球でガンガン林業やったり農地拡大して増えた酸素供給量で20パーセントを超えて余った分がNBへ流し込まれてたりするんですよね…)
つまり移植開始当初の植林はあくまでも酸素供給量を確保するためなのです。
そして特殊な半生体地衣類によって土壌を植物向きに改良している土地がまだまだ多数、残っているのです。
痴女皇国世界と紐付きの方のNB本星にあるルーン大陸…オーストラリアと同等のその土地での話にもありましたとおり、植生や他の生物相の定着を含めた開拓も現在進行中、なのですよ。
ですから、現地での食糧生産も含めて、移民を受け入れるためのさらなる準備が必要なのです。
(いっそ痴女皇国みたいに苗床や魔族の投入に踏み切ろうよって、お祖父様に進言したいくらいですよ…ただ、あれ使っちゃうと痴女皇国のやり方になっちゃうんで…)
(確かにそりゃそうだ…だけどなマリアちゃん…生産効率はそのマゾクって存在を使うよりは落ちるだろうけど、人間や機械によってある程度の向上は図れるだろ…それに例の卑猥な名前の肥料。あれはこっちでも使えるか、生産できるんだよな?)
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マリア「できます(きっぱり)」
ジーナ「つまり、聖院側でも聖院地球の聖院島他の影響地では投入してるんよ、チ◯◯ネックス」
マリア「実は聖院側のNBでもがんがん使ってますよ…ただ、自動化農場でないと収穫が追いつかないんですよね…」
ジーナ「つまり◯ン◯ネックス・ボッ◯ダスも投入してる言う事やな」
マリア「むしろそれ使ってるから自動化しないと副作用が怖いわけなのよ…普通の緑の容器の◯◯ポネックスでさえ、人が吸うと大変なことになります…」
ドミニク「あれ実質的に媚薬にも使えますからね…それも超・強力な…」
ジーナ「つまりそういう裏工作用途にも使えるんやわ(にやり)」
はげ「ま、これで食料問題はある程度解決できるだろ…それと、自然環境の再生にも使えるよな、あの黄色い猥褻なボトルの液体肥料…」
マリア(実はゴルディーニさんのこの発言も後で意味を持ってくるんですよ、ふふふ…)




