第20話 新たな仲間と踏み出す第一歩
聖都の正門前。早朝の冷たい空気が漂う中、旅立ちの支度を終えたヘリオスが駆け足で合流すると、そこにはすでにヒューガとレオン、そして今回の調査任務に同行するジンガー副聖騎士長の姿があった。
「遅いぞ、ヘリオス。ま、身内の見送りで色々あったなら仕方ないがな」
腕を組みながら呆れたように笑うヒューガと、懐中時計で時間を確認しながら静かにうなずくレオン。二人の表情には、これから始まる未知の旅路に対する緊張感と、それを乗り越えていくという強い決意が宿っていた。
「待たせたな。……よし、これで全員揃ったわけか」
ヒューガはそういい周囲を見渡すと、ジンガーの背後に控えていた二人の騎士がふっと前に歩み出た。聖騎士長ヴァルガスが「絶対の信頼を置く腕利きの部下」として選抜し、今回の調査をサポートするために同行することになった精鋭たちだ。
「初めましてだな、若き適合者たち。俺は聖騎士団所属、斥候および前衛担当のガレオンだ。面倒な罠や厄介な敵の奇襲は、俺がまとめて引き受けてやるさ。頼りにしてくれ」
鋭い洞察力を感じさせる銀髪を揺らし、軽妙な口調で笑ってみせたのはガレオンだった。その腰には使い込まれた双剣が光り、場数を踏んできた歴戦の気配が漂っている。
続いて、その隣で静かに一礼したのは、落ち着いた佇まいの女性騎士だった。
「同じく聖騎士団のシリルです。私の固有能力である魔力探知と結界術で、皆さんの足元や周囲の危険を徹底的にサポートします。長旅になりますが、どうぞよろしくお願いしますね」
物腰は柔らかくも、その瞳には揺るぎないプロとしての覚悟が宿っている。シリルがそう言って微笑むと、場に漂っていたピリッとした緊張が少しだけ和らいだ。
ふたりの頼もしい仲間が加わったことに、ヒューガが面白そうに片方の口角を上げる。
「へえ、ヴァルガスのおっさんが選んだだけあって、頼りがいのある連中だな。よろしく頼むぜ、ガレオン、シリル」
レオンもまた、眼鏡の位置を直しながら静かに言葉を継いだ。
「あなた方の経験と技術が噛み合えば、ロキの隠した手がかりに確実に迫れるはずだ。効率的かつ安全な連携を期待する」
レオンの理路整然とした分析に、ガレオンは愉快そうに肩をすくめ、シリルは頼もしそうに頷いた。
「ふん、頭の切れる眼鏡くんと、血気盛んな前衛か。面白いチームになりそうだね」
「ええ。皆さんのサポートは私に任せてください。必ず、無事に聖都へ戻りましょう」
二人の言葉を聞き、ジンガーが小さく鼻を鳴らしてから、厳かに前方へと手を突き出した。
「馴れ合いはそこまでだ。我々の目的は、ロキの計画――『魂の牢獄』の再現と世界の魔力剥奪に関する確実な手がかりを掴むこと。ヴァルガス騎士団長は私たちが集まるよりも前に出発した。そしてこれからは一歩でも油断すれば、命はないと思え。……出発する!」
ジンガーの鋭い号令とともに、ヘリオスたち総勢の調査隊は聖都の門をくぐり抜け、ロキの影を追うための果てしない旅路へと力強く踏み出したのだった。




