表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン攻略恋愛リアリティショーで、最弱の俺が最強女剣士に選ばれて炎上する  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
41/50

第41話 告白ダンジョン開始

《告白ダンジョン》

《開門まで残り十二時間》


 その表示は、夜が明けても消えなかった。


 十二時間後。


 共同ハウスの中央には、白い花で飾られたゲートが立っていた。床には淡い光の花びらが流れ、天井から降りる配信用ドローンにも、小さなリボン状の演出光がまとわりついている。


《最終企画:告白ダンジョン》

《黒瀬ユウマ × 白銀レイナ》

《シンクロ率 三十六%》

《接続:安定》

《ペアスキル波形:一歩先の剣路/安定》


【三十六%?】

【最終回なのに低くない?】

【レイナ様と黒瀬でこれ?】

【地味すぎる】

【告白ゲートかわいい】

【結婚式みたいじゃん】

【いや接続安定見ろ】

【ガチ勢だけど波形きれいすぎる】

【シンクロ率だけ見てる奴は黙って】


 公式配信の画面では、ユウマとレイナのこれまでの映像が流れていた。


 最初のペア選択。


 第三区画の無傷攻略。


 第十二隔壁で、ユウマが火壁へ入った瞬間。


 レイナが「怖いわ」と言った場面。


 それらは綺麗に編集されていた。痛かった声も、迷った沈黙も、花びらと音楽で包まれている。


 レイナはゲートの前に立った。


 白いドレスではない。いつもの探索者装備だった。けれど肩口には、最終回用の白い布飾りがつけられている。


「似合わない?」


「いえ」


 ユウマは首を振った。


「でも、戦いにくそうです」


「そこを見るのね」


「はい」


 レイナは少しだけ息を吐く。


 笑ったようにも見えた。


 ゲートは美しかった。


 白いアーチ。光の花。視聴者コメントが細い星のように浮かび、中央には告白用の赤い道が奥へ伸びている。


 けれどユウマには、その下が見えていた。


 花びらの裏。


 白い柱の継ぎ目。


 コメント演出の流れる壁面。


 そこを、黒い線が走っている。


 攻略を助ける線ではない。


 レイナの剣路へつながる線でもない。


 二人の足元から、胸元へ、喉へ、過去の映像へ、細く食い込もうとする線だった。


 赤い道の先には、告白ステージが見える。


 だがユウマの目には、その輪郭が測定円に見えた。


 ペアを祝福する場所ではない。


 感情を固定して、数字に変える場所。


 白い花で飾られた、処理台だった。


 編集室では、久我山トオルがその画面を見ていた。


 巨大モニターには、公式配信、二十四時間生配信、SNS切り抜き予測、感情反応波形が並んでいる。


「感情誘導素材、最終チェック完了」


「未公開音声、同期完了」


「炎上コメント、抽出済みです」


 一人のスタッフが、声を落とした。


「あの、久我山さん。本当にこのまま入れるんですか。接続は安定しています。感情誘導をかける必要は――」


 久我山は、モニターから目を離さない。


「安全な場所で出る本音なんて、本音じゃない」


 怒ってはいなかった。


 むしろ、静かだった。


 だから余計に、スタッフの顔が強張った。


「でも、前回の試験では接続不安定が出ています。シンクロ率だけが上がると、ペアスキルが――」


「失う寸前の人間だけが、恋を証明できる」


 久我山は笑った。


 視線の先には、ゲート前のユウマとレイナがいる。


「彼らは選んだ。なら、その選択が本物かどうか、最後まで見せてもらわないと」


 ゲート前で、レイナがユウマを見る。


「行くわよ」


「はい」


「怖い?」


 ユウマは黒い線を見た。


「怖いです」


 レイナは頷いた。


「なら、いいわ」


 二人が一歩進むと、白い扉が音もなく開いた。


 歓声のような効果音が流れる。


 コメント欄が光になって、ゲートの奥へ流れ込む。


《告白ダンジョン、開門》

《最終ペア、入場》


【いけえええ】

【ユウレイ最終回!】

【頼む最高シンクロ出して】

【黒瀬、レイナ様を泣かせるなよ】

【なんか怖い】


 白い光の奥から、最初の声が聞こえた。


【アリス降ろせ】


【黒瀬かわいそう】


【レイナ様、見る目ない】


 花に飾られた告白ゲートの奥で、過去の炎上コメントが、笑い声のように重なり始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ