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ダンジョン攻略恋愛リアリティショーで、最弱の俺が最強女剣士に選ばれて炎上する  作者:


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第24話 レイナを巡る選択

《特別ルール》

《次回攻略ペア選択》


 久我山トオルは、いつも通り穏やかだった。


《白銀レイナは、次回攻略で以下のどちらかを選択》

《黒瀬ユウマ》

《獅堂レン》


 リビングが、ざわつくより先に固まった。


《元Sランク追放者 vs 元リーダー》

《最強剣士は誰を選ぶ?》


【来たあああ】

【番組えぐい】

【レイナ様を巻き込むな】

【レンレイ強そう】

【レイユウ継続してくれ】

【黒瀬、ここで逃げるなよ】

【ミナユウ派はまだ生きてる】

【サヤユウは守りたいじゃなくて助け合いだろ】


 レイナは中央に立っていた。


 剣は腰にある。指は柄に触れていない。けれど、右手の親指だけが、鞘の縁を一度なぞった。


 レンが先に歩く。


 迷いがなかった。


 カメラに背を向けすぎず、レイナを真正面に置く。強い男が、強い女に手を差し出す絵になっている。


「白銀さん」


 レンは笑った。


「俺なら彼女を勝たせられる」


 主語を間違えない声だった。


 言い切る声だった。


「中層でも、深層前でも、あなたの剣を活かせる。火力も前衛も俺が持つ。あなたは遠慮なく斬ればいい」


【強い】

【レンレイ見たい】

【これは絵になる】

【黒瀬より安全ではある】

【勝たせられるって言い切れるのデカい】


 レンの線は太かった。


 炎のように、まっすぐ前へ伸びる。


 ただ、根元だけが硬い。折れないように固めた線に見えた。


 ユウマはレイナを見る。


 レイナはレンの言葉を聞いている。頷きはしない。否定もしない。


 彼女の視線が、次にユウマへ向いた。


 逃げ道を塞ぐ視線だった。


 初攻略前夜と同じ。


 見ているだけでは許さない目。


 ユウマは息を吸った。


「俺は、あなたに選ばれたい」


 リビングの音が消えた。


 レイナの目が、ほんの少しだけ揺れた。


 ミナが小さく息を止める。


 サヤは両手を握る。


 ノアは何も言わない。


 ユウマの足元から、細い線がレイナへ伸びる。


 初めて、自分の方から伸びた線だった。


 レイナからも、白い線が一瞬だけ応えた。


 細い。


 けれど、確かに近づいた。


 なのに。


「でも今の俺は、あなたを危険に晒さず勝たせる方法をまだ見つけられていない」


 言った瞬間、自分でも分かった。


 正直だった。


 嘘ではなかった。


 レイナを危険に晒したくない。それは本当だ。


 けれど同時に、逃げだった。


 選ばれたいと言ったあとに、選ばれなくても仕方ない理由を、自分で置いた。


 つながりかけた線が、細く引く。


 レイナの指が、剣の柄に触れる。


 強くは握らない。


 ただ、触れたまま離れない。


「あなたは、私の怖さは見るのに、自分の欲しいものは最後まで言い切らないのね」


 静かな声だった。


 怒っていない。


 だから、刺さった。


 ユウマは言葉を失う。


 違う、とも言えない。


 危険に晒したくないんです、と言えば、同じところへ戻る。


 信じています、と言うには、さっき自分で線を引いた。


 レイナはユウマから目を逸らさなかった。


 逸らさないまま、言った。


「私は、獅堂レンを選ぶ」


《白銀レイナ、獅堂レンを選択》


【うわあああ】

【黒瀬そこで言い切れよ】

【レイナ様怒ってる?】

【嫌いになったわけじゃないだろこれ】

【レンレイ成立】

【レイユウ終わった?】

【終わってない、線切れてないだろ】


 ユウマには、線が見えた。


 切れてはいない。


 レイナから自分へ伸びていた細い線は、完全には消えていない。


 けれど、一度引いた。


 手を伸ばせば届くと思っていた場所から、半歩だけ遠のいた。


 その半歩が、ひどく遠い。


 レンは勝ち誇った顔をしなかった。


 ただ、当然のようにレイナの隣に立つ。


 その自然さが、ユウマとの差を画面にした。


 ミナは唇を噛んだ。


 サヤは何か言いたそうにして、それでも言わなかった。


 カイトは静かに目を伏せる。強い言葉を持つ者が勝つ場面を、見ていた。


 ガクは拳を握ったが、開いた。


 ノアだけが、小さく言った。


「そこで言い切れないの、黒瀬くんらしいけど、最悪」


 ユウマは、返事ができなかった。


 第一回ペア選択で、最後まで残った自分を、レイナが選んだ。


 今度は逆だった。


 レイナは目を逸らさないまま、別の男の隣に立った。


 ユウマは初めて、選ばれなかった側に戻された。


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