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ダンジョン攻略恋愛リアリティショーで、最弱の俺が最強女剣士に選ばれて炎上する  作者:


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15/22

第15話 レイナの嫉妬

《低層ダンジョン・第六区画》

《攻略完了》

《黒瀬ユウマ×桃瀬ミナ》

《シンクロ率 二十九%》

《ペアスキル接続:安定傾向》

《未登録波形:解析保留》


 ゲートを出た瞬間、ミナは深く息を吐いた。


「生きてるー」


 それから、いつもの笑顔に戻ろうとして、少しだけ失敗した。


 ユウマが水を渡すと、ミナは受け取りながら肩を寄せる。カメラにも、リビングの出演者たちにも見える距離。


「営業のつもりだったんだけどな」


 声は軽かった。


 でも、軽くしきれていなかった。


【ミナちゃん?】

【今の何】

【営業のつもり、ずるい】

【黒瀬、また変なフラグ立ててる】


 共同ハウスのソファでは、レイナが剣を手入れしていた。


 表情は動かない。


 布だけが、同じ場所を何度も往復している。


 刃はもう十分に綺麗だった。


 ノアが口元を隠して笑う。


 ミナも見逃さなかった。


「レイナちゃん、黒瀬くんのこと気になるの?」


 レイナは即答した。


「戦力として必要なだけ」


 早かった。


 早すぎた。


「それ、恋リアだと一番危ない言い方」


 ノアが楽しそうに言う。


「事実よ」


「事実なら、なお危ない」


 リクが手を上げた。


「はいはい、戦力として必要な人が多いのはいいことです。俺も誰かの戦力になりたい」


 ガクが胸を叩く。


「俺は常に壁として必要だぞ」


「恋リアで壁アピールは弱いって」


 カイトは苦笑しながら、レイナの剣を見る。


「白銀さん、そのあたりはもう拭けてると思う」


「分かってる」


 レイナは布を止めた。


 鞘に戻す音が、少しだけ強かった。


 壁のモニターでは、レイナとカイトの攻略結果も並んで表示されていた。


《白銀レイナ×朝倉カイト》

《シンクロ率 三十一%》

《接続:安定》

《到達評価:無傷》

《ペアスキル波形:未発生》


《黒瀬ユウマ×桃瀬ミナ》

《シンクロ率 二十九%》

《接続:安定傾向》

《未登録波形:解析保留》


【カイレイ普通に強い】

【でも黒瀬組はまた未登録出てる】

【レイナ様、数字では勝ってるのに布が止まらない】

【レイユウ派とミナユウ派、戦争】


 ユウマは、ミナとレイナの間にある空気を見ていた。


 ミナの線は、もう昼ほど派手に光っていない。


 レイナの線は、剣の根元でわずかに硬くなっている。


 感情は分からない。


 ただ、どちらも何かに引っかかっていることだけは見えた。


 同じ頃、獅堂レンは控室で配信を見ていた。


《黒瀬ユウマ、二回連続で未登録波形》

《元Sランク荷物持ち、実は接続補助型か?》


 コメント欄に、探索者ガチ勢の考察が流れた。


【比較出てるぞ。レン班、黒瀬抜けてから平均戦闘時間+二割らしい】

【支援指示遅延も増えてる】

【過去ログ見ると黒瀬、指示細かい】

【荷物持ち扱いしてたの勿体なくない?】


「関係ない」


 レンは画面を消そうとした。


 けれど指は止まった。


 画面の中で、ユウマがミナとレイナの間に立っている。


 後ろで見ているだけの男が、今は番組の中心にいた。


 その夜。


 ミナは一人で配信ノートを開いた。


《同接》

《切り抜き再生》

《コメント傾向》

《炎上リスク》

《黒瀬ユウマ:接続を見る。数字だけ見ない》


 ペン先が止まる。


 ミナは新しいページを開いた。


 誰にも見せないページだった。


《伸びるなら使う》


 そこまで書いて、ミナはしばらく手を止めた。


 ペンで、その文字に線を引く。


 完全には消えない。


 黒い線の下に、まだ読める形で残る。


 その下に、書き直した。


《探索者を消費しない番組》


 書いたあと、ミナはしばらくその文字を見ていた。


 カメラの赤いランプは、ノートの中身までは映さない。


 ミナがページを閉じた直後、リビングのモニターが自動で点灯した。


《次回公式ダイジェスト》

《黒瀬ユウマ、桃瀬ミナの好意を「好きなふり」と断言》

《白銀レイナ、沈黙》

《最弱荷物持ちは、またヒロインを傷つけたのか?》


【生配信勢:いや、そこだけ切るな】

【全部見てたら逆だぞ】

【公式、また燃やしに来た】


 ミナは画面を見た。


 そして、さっき閉じたノートを、もう一度だけ指で押さえた。


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