第49話:剥落する楽園、全人類のラストライブ
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## 第49話:剥落する楽園、全人類のラストライブ
「……これが、俺たちの見ていた『世界』の正体か」
第80層の空が完全に剥がれ落ち、視界に飛び込んできたのは星空でも太陽でもなかった。それは、脈動する巨大なサーバーユニット、無限に絡み合う生体ケーブル、そして……カプセルに閉じ込められたまま眠り、夢を搾取されている**「数億人の生きた肉体」**だった。
地上の人々も、自分たちが「シミュレーションの中の住人」であることを、空に浮かぶ巨大なノイズを通して知ることとなった。パニックと絶望が世界を覆い尽くそうとしたその時、ノイズを切り裂いて一人の男の声が響く。
『……おい! 絶望してる暇があるなら、あいつを見ろ!』
シュウだ。地上でハッキングを続ける彼が、全モニターに「一条レン」の戦う姿を映し出した。
『世界が偽物だったとしても、あいつが流した血は本物だ! あいつが俺たちのために限界を超えてるのは現実だ! だったら、最後くらい「神様」の計算を狂わせてやろうぜ!!』
地上の人々が、震える手で自分の配信端末を握りしめる。
「頑張れ」「負けるな」「レン!!」
空に向かって放たれる数億の応援メッセージが、物理的な光の柱となって第80層へ降り注ぎ、崩壊した足場を繋ぎ直して**『100層への階段』**を形作っていく。
「……みんな。……ああ、聞こえるぜ。最高の『投げ銭』だ!!」
レンは『ストリクス・ジェネシス』の装甲を輝かせ、光の階段を駆け上がる。
**『――WARNING: SYSTEM PURGE(警告:システム消去開始)――』**
100層から放たれる、存在そのものを消去する概念抹殺光。
だが、海斗とサキがレンの両脇を固める。
「レンさん、ここは俺たちが防ぐ! 一番上まで……その拳を届けてこい!!」
「私たちが信じた『一条レン』を、神様に見せつけてあげなさい!!」
二人のライダーが、自らの全エネルギーを盾に変え、抹殺光を真っ向から受け止める。
爆炎の中、レンは光の階段を蹴り、ついに最上階――**第100層『デウス・コア』**へと到達した。
そこは、白一色の無の空間。
中央に浮かぶのは、巨大な脳の形をしたバイオ・コンピューター、デウス・エクス。
**『……一条レン。君の不確定要素としての振る舞いは、私の想定を12%上回った。賞賛に値する。』**
神の声は、あまりに穏やかで、慈悲に満ちていた。
**『君に提案がある。私が消えれば、このシミュレーションは崩壊し、数億の人類は肉体のみの廃人となるだろう。……君が新しい「神」となり、私と融合し、この世界をより完璧にリメイクする。……それだけが、彼らを救う唯一の道だ。』**
デウス・エクスの眼前に、一つの輝く「融合プラグ」が現れる。
それに触れれば、レンは万能の神となり、愛する者たちを偽りの平和の中で永遠に生かすことができる。
「……それが、あんたの出す『正解』か」
レンは、ゆっくりとプラグに手を伸ばした。
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