第5話:秘密基地と、進化の予兆
---
## 第5話:秘密基地と、進化の予兆
ハルカに案内された場所は、第5層の岩壁に隠された古い魔導遺跡の跡地だった。
内部には古びた旋盤や魔力測定器が並び、オイルと魔石の匂いが入り混じっている。
「ここが私の工房です。誰も来ないから、研究には最適なんですけど……まさか、本物の『オーバーテクノロジー』が転がり込んでくるなんて」
ハルカは目を輝かせながら、俺のバイク『ストライカー・ウィーラー』を点検し始めた。
その手つきは驚くほど正確で、迷いがない。
「ねえ、レンさん。このマシン、自己修復機能はあるみたいだけど、外部からのエネルギー供給効率がまだ甘いわ。私の魔導エンジン技術と同期させれば、もっと……そう、**『空を飛ぶ』**くらいできるかも」
「空をか。悪くない」
俺が頷くと、ハルカは嬉しそうに作業に没頭し始めた。
俺はその間、工房の片隅でドローンを起動し、配信画面をチェックした。
『待て待て、あの美少女整備士は誰だ!?』
『主人公、いつの間にか隠れ家作ってて草』
『あのバイク、まだ速くなるのかよ……』
コメント欄は相変わらずの熱狂ぶりだが、不穏な書き込みも混じっていた。
どうやらギルドの精鋭たちが、俺の「変身の秘密」を探るために第5層へ向けて大規模な遠征隊を組んだらしい。
「レンさん、これを見て」
ハルカが解析モニターを指差した。
そこには、俺のベルト『アーク・ドライバー』から出力された、未開放のデータログが表示されていた。
「このベルト、今のままじゃ出力の30%も使えてないわ。次の段階――**『フォームチェンジ』**を安定させるには、特定の波長を持つ高密度魔力体が必要みたい」
「高密度魔力体?」
「ええ。第6層のボス、通称『獄炎の巨像』の核。それが手に入れば、あなたの装甲は**『熱を力に変える』**新しい姿に進化できるはずよ」
今の基本形態は万能だが、今後の強敵相手には特化した力が必要になる。
特撮でいうところの「強化フォーム」だ。
「……なら、話は早い。その巨像とやらを倒しにいく」
「待って、準備もなしに!? あいつの防御力は魔法騎士団ですら――」
ハルカの制止を背に、俺は再びベルトを腰に巻く。
ちょうど、工房の入り口に設置したセンサーが反応した。
ギルドの遠征隊ではない。
もっと禍々しい、闇の魔力。
「……ハルカ、奥に隠れてろ。お客様のお出ましだ」
工房の入口を塞ぐ大扉が、外側から何者かの「物理的な力」によって歪められる。
魔法ではない。俺と同じ、**『装甲』**を纏った者の力だ。
**――ギギィィッ!**
火花を散らして扉が吹き飛ぶ。
砂煙の中から現れたのは、漆黒のバイザーに、紫の禍々しい炎を纏った――俺と似て非なる**『もう一人の変身者』**だった。
「……見つけたぞ。模造品の騎士」
そいつは、俺のベルトを指差し、嘲笑うように言った。
---




