第43話:受け継がれし力、コキュートス脱出作戦
---
## 第43話:受け継がれし力、コキュートス脱出作戦
「アニキ、動けるか!?」
「ああ……なんとかな。だが、お前たちの火力が、俺の洗脳を焼き切ってくれたおかげで、皮肉にも頭は今までで一番スッキリしてるよ」
シュウは苦笑いしながら、海斗の肩を借りて立ち上がった。
その手からこぼれ落ちた**『力の鍵』**の欠片が、レンのアーク・ドライバーに吸い込まれるように吸着する。
**『――TRINITY-CODE 01: STRENGTH... INSTALLING(第1の鍵、インストール中)――』**
レンの身体に、地底の底から突き上げるような力強い脈動が走る。
今まで「数千人のリソース」に頼っていた出力が、レン自身の細胞一つひとつから溢れ出すような、純粋で暴力的なまでに安定したパワーへと書き換えられていく。
「……これが、『力』の鍵。重いな……背負ってきた奴らの想いの分だけ」
だが、余韻に浸る時間はなかった。
独房の全アラートが赤く点滅し、天井からは管理局が送り込んだ自律型破壊兵器「エリミネーター」が、蜘蛛のように壁を這って次々と降りてくる。
「ゼノスの野郎、証拠隠滅のために監獄ごと沈める気だ!」
海斗がバーニング・アクセルの残り火を拳に宿す。
「海斗、お前たちはシュウさんを連れて先に脱出路へ向かえ。ここは俺が――」
「いいや、レン。ここは俺が残る」
シュウが海斗の手を離し、壁の制御パネルを強引に引き剥がした。
「……アニキ!?」
「安心しろ、死ぬつもりはない。この監獄のシステムは、俺の脳のデータと同期していた。俺が直接ラインを繋げば、防衛ドローンを一時的に混乱させられる。……海斗、お前はもう俺の後ろを走る子供じゃない。レンを支え、あの『天の意志』ってやつに、一発ぶち込んでこい!」
「……シュウさん、必ず地上で会いましょう」
レンの言葉に、シュウは短く「ああ」と答え、火花散る端子を自分の腕に突き立てた。
**『――NETWORK HIJACK: STARTING(ネットワーク・ジャック開始)――』**
「行くぞ、海斗! ハルカ、サキ! 止まるなッ!!」
レンは『力の鍵』で強化された拳を振るい、迫りくる鉄の群れを次々と粉砕していく。
かつての『ストリクス』の戦いが「舞い」だとしたら、今の戦いは「咆哮」。一撃一撃が監獄の構造体すら揺るがす破壊力。
「ハアアアアアッ!!」
爆炎の中、レンたちは崩落する第60層を駆け抜け、次なる試練の地、**第70層『鏡の回廊』**へと続くエレベーターへと飛び込んだ。
閉まる扉の向こう、数千のドローンをハッキングで操り、たった一人で戦い続けるシュウの背中が、一瞬だけ誇らしく輝いて見えた。
---




