第34話:地下鉄の亡霊、闇に潜む希望
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## 第34話:地下鉄の亡霊、闇に潜む希望
「……ハァ、ハァ……こっちだ! 急げ!」
第50層、ロスト・メトロポリスの地下。俺たちは、管理局が放った無人暗殺機「ハンター・ドローン」の追撃を逃れ、朽ち果てた地下鉄の構内へと逃げ込んでいた。
地上の大型ビジョンには、今も俺の顔写真と共に『人類の敵・死体でも可』という非情なテロップが踊っている。配信のコメント欄は、かつて俺を「英雄」と崇めた人々による、呪詛の言葉で埋め尽くされていた。
「……レンさん、右腕の装甲が……」
サキが悲痛な声を上げる。
世界中からの「拒絶」を浴びた『アーク・ドライバー』は、出力が極限まで低下し、変身を解いた後も黒い煤のような汚れが肌にこびりついていた。
「大丈夫だ。それより、ハルカ……今の俺たちの位置は?」
「……旧地下鉄・中央線。ここを辿れば、管理局の目が届かない『最深部への直通経路』に出られるはず。でも、電力が死んでるわ。手動で列車を動かさないと……」
その時だった。暗闇の奥から、ガサリと音がした。
「誰だ!?」
海斗がアクセル・ガンを構える。
現れたのは、ボロボロの防護服に身を包んだ、十数人の「人間」たちだった。
「……本物だ。本物の一条レンだ……!」
一人の老人が、震える手で俺を指差した。
「管理局の追手か? ……悪いが、今は取り合っている暇はない」
「違う! 俺たちは……『沈黙のリスナー』だ」
老人の後ろから、若い男が前に出た。手には、使い古された旧型の配信端末がある。
「管理局の検閲が始まってから、俺たちは声を上げられなくなった。コメントを書き込めば即座に拘束される。……でも、みんな消してないんだ。あんたが『悪魔の子』だなんて、誰も信じちゃいない!」
男が端末の画面を見せる。そこには、管理局の監視を潜り抜けた、**秘匿されたダークウェブの掲示板**が映し出されていた。
『一条レンを信じろ』
『血筋が何だ。彼が救った命を数えてみろ』
『俺たちのヒーローを、孤独にさせるな』
数百万、いや数千万の、**「沈黙させられた善意」**がそこには渦巻いていた。
「……そうか。まだ、届いてたんだな」
俺の胸の奥で、冷え切っていたドライバーが微かに熱を帯びる。
「レンさん、これを使って!」
ハルカが、地下鉄の制御盤に自分の端末を接続した。
「彼らが提供してくれた秘匿サーバーの演算能力を使えば、一時的にドライバーの出力を偽装できる! 管理局のノイズを跳ね除けて、もう一度『変身』できるわ!」
**『――FORCE LOG-IN: REBEL-NETWORK(強制ログイン:反逆者ネットワーク)!!――』**
背後から、管理局の精鋭追撃隊が迫る。
俺は、地下鉄のホームに立ち、再びドライバーに手をかけた。
「……たとえ世界の大半が俺を拒んでも、信じてくれる奴が一人でもいるなら……俺は、その一人のために『悪魔』になってやるよ!!」
**『――CONNECT GEAR: 00... OVERWRITE!!(システム上書き)!!――』**
漆黒の闇を切り裂き、**「深紅の稲妻」**を纏ったストリクスが再臨した。
それは、公式に否定された者が纏う、**「反逆の赤」**。
「行くぞ……。地獄の底まで、俺たちに付いてきな!!」
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