第31話:旧世界の遺産、白銀の処方箋
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## 第31話:旧世界の遺産、白銀の処方箋
「……ハルカ、返事をしてくれ……!」
ハルカの意識は戻らない。無理なハッキングによって、彼女の魔導回路は焼き切れ、脳には過負荷がかかっている。
俺たちの拠点である第20層へ戻る時間はない。この第50層『ロスト・メトロポリス』のどこかに、彼女を救う手段があるはずだ。
「レンさん、これを見て!」
海斗が、廃墟となった高層ビルのデジタル看板をハックして表示させた。
そこには、旧世界の地図がうっすらと浮かび上がっていた。
「『中央統合医療センター』……。プロフェッサーのデータによれば、そこにはあらゆる負傷を分子レベルで修復する**『万能治療薬』**が眠っているはずよ」
サキが、ヴァルキリーのレーダーでビルを指し示す。
だが、そのセンターの周囲には、これまでとは比較にならない数の真鍮の騎士、そして空を埋め尽くすドローン兵器が展開されていた。
「……海斗、サキ。ハルカを頼む」
「えっ、レンさん、一人で行く気!?」
「俺が注意を引く。その隙に、二人でハルカを運んでくれ。……俺には今、あいつの温もりがまだ手に残ってるんだ。それが消える前に、あいつを笑わせたい」
俺は、白く反転したヴォイド・トリガーをドライバーに押し込んだ。
**『――PURE SYNC: OVER-EVOLVE(純粋同期:限界進化)!!――』**
漆黒だった装甲が、眩いばかりの**「パールホワイト」**へと変色していく。
虚無を乗り越え、仲間の想いを受け入れた姿――**仮〇ラ☓ダーストリクス・シャイニング**。
「行くぞ……旧世界の亡霊どもッ!!」
俺が地を蹴ると、背後でソニックブームが巻き起こった。
超高速で飛来するドローン群を、俺は一瞥もせず、ただすれ違いざまに手刀で一閃する。
爆発の炎が、白い装甲に反射して美しく煌めいた。
「ハアアアアアッ!!」
医療センターの防衛隔壁を、拳一つで粉砕する。
内部へ突入すると、そこには巨大なバイオ・メインフレームが鎮座していた。
**『――認証成功。一条レン……管理者権限を確認。パナケイアを抽出します――』**
「管理者……? 俺が……?」
不意に浮かんだ疑問。だが、今はそれを考えている暇はない。
抽出された青いカプセルを掴み、俺は押し寄せる守護者たちを蹴散らしながら、仲間の元へと疾走した。
「……ハルカ! これを!!」
カプセルを彼女の口元に運ぶ。
青い光の粒子が、彼女の身体に吸い込まれていく。
数秒の静寂の後、ハルカが「……ん……」と微かに目を開けた。
「……レン、さん……? 良かった、怖い顔、してない……」
「ハルカ……!」
俺は彼女の手を握りしめた。今度は、その手のひらの熱さが、はっきりと俺の心に伝わってきた。
だが、安堵する俺たちの背後で、プロフェッサーの不気味な声が響く。
「……素晴らしい。管理者権限まで使いこなすとは。……だが一条レン。君が『管理者』として認められたということは、この街の**『真の防衛システム』**が、君を最優先抹殺対象に設定したということでもあるんだよ」
街の地鳴りが、先ほどとは違う「機械的な脈動」へと変わる。
ビルそのものが変形し、巨大な巨人のような姿へと組み変わっていく。
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