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『ダンジョン配信中に「変身!」と叫んでみた。〜魔法使いばかりの世の中で、重装甲のバイク乗りがソロ攻略で無双する〜』  作者: じょんどぅ


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第30話:君の心に、もう一度ログインする



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## 第30話:君の心に、もう一度ログインする


「……あいつ、何て言ったんだ?」


旧文明の瓦礫の中、俺はポツリと呟いた。

目の前で膝をつく海斗とサキ。二人は俺を必死に呼んでいるが、俺の脳内にある『人名辞書』は、彼らをただの「協力者A、B」としか定義しなくなっていた。


「……レンさん、いい加減にしてよ!!」


ハルカが、泣き腫らした目で俺の胸ぐらを掴む。

「『何のために戦ってるか』なんて、そんなの私が教えるわよ! 自分が無能だと思ってたアンタを、一番信じてたのはアンタ自身じゃない! 私たちがここにいるのが、その証拠でしょ!?」


「……離せ。データにない感情をぶつけられても、システムのノイズになるだけだ」


俺は冷たく彼女の手を振り払おうとした。

だが、ハルカの瞳に「絶望」ではなく「覚悟」が宿ったのを、センサーが検知した。


「……海斗君、サキちゃん。レンさんを抑えて! 強制ログイン(ハッキング)を仕掛けるわ!」


「えっ……でもハルカさん、そんなことしたらアンタの脳が!」

「いいからやって!!」


海斗とサキが、俺の腕を羽交い締めににする。

本来ならヴォイド・フォームの俺を抑えられるはずがない。だが、二人のライダーが自らのベルトの全エネルギーを「拘束用力場」に変換し、俺の動きを数秒間だけ封じた。


「……アーク・ドライバー……私の魔力のすべてを受け取りなさい!!」


ハルカが、自分のメンテナンス・ターミナルをドライバーの拡張スロットに叩き込んだ。


**『――CRITICAL LINK: HUMAN-TO-SYSTEM(緊急接続:人間対システム)――』**

**『――UPLOADING "UNRECOVERABLE MEMORIES"(「修復不能な記憶」転送中)――』**


「あああああああああッ!!」


ハルカが悲鳴を上げる。

彼女が俺と過ごした半年間。一緒にカレーを食べた夜、バイクの整備で徹夜した朝、配信がバズってハイタッチした瞬間――彼女の視点から見た「一条レン」という男の全記録が、俺の脳内に強引に流し込まれた。


それは、システムが削除した『文字データ』ではない。

ハルカの『熱量』を伴った、生きたバックアップだ。


「……っ、が……あ、あ……!!」


俺のバイザーが激しく明滅し、漆黒の装甲に「虹色のノイズ」が走り始める。

虚無が、ハルカの愛着によって押し返されていく。


『……レン、戻ってこい!!』

『ハルカちゃんが命を削ってるぞ!!』

『思い出せ、お前はただの機械じゃない!!』


世界中のリスナーのコメントが、今度はテキストではなく、温かな手のひらのように俺の背中を押す感覚。


**『――VOID PURGE: CANCELLED(虚無排除:中止)――』**

**『――EMOTIONAL CORE: RESTORED(感情コア:復元)!!――』**


パリンッ!!


俺の頭を覆っていた『虚無の仮面』が砕け散った。

バイザーの奥に、光が戻る。


「……ハルカ。……バカだな、お前。こんな無茶して……」


俺は、気を失って倒れ込むハルカを、しっかりと抱きとめた。

彼女の頬を伝う涙の理由が、今ははっきりと分かる。

海斗とサキが、ボロボロになりながらも安堵の表情で笑っている。


「……プロフェッサー。あんたの言う『神の領域』なんて、ちっとも面白そうじゃなかったぜ」


俺は立ち上がり、壊れかけのドライバーに拳を叩きつけた。

ヴォイド・トリガーが、俺の「想い」に耐えかねて純白へと反転していく。


「……忘れた分だけ、もっと強く、刻み直してやる。……俺が、一条レンだ!!」


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