第15話:第15層の罠、あるいは進化の鍵
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## 第15話:第15層の罠、あるいは進化の鍵
「……第15層。いよいよ、あの『プロフェッサー』が言ってたエリアだね」
海斗がスケボーの速度を上げ、先行して地形をスキャンする。
第15層『機械仕掛けの揺り籠』。そこはこれまでの岩とマグマの迷宮とは一変し、壁面を巨大な歯車が回り、床下からは規則的なピストン音が響く、不気味なほど「無機質な」階層だった。
「レンさん、気をつけて。ここ、魔力の流れが完全に遮断されてる。魔法使いの探索者なら、立っているだけで魔力切れを起こすレベルよ」
「……魔法の劣化コピーじゃない、『純粋なシステム』の領域ってことか」
俺はストライカー・ウィーラーのエンジン音を聞きながら、腰のドライバーの反応を確かめる。
むしろここに来てから、ドライバーの鼓動は安定し、出力が増しているようにさえ感じられた。
だが、その静寂を切り裂くように、頭上から漆黒の雷鳴が降り注いだ。
**――ドォォォォォン!!**
「っ!? 全員、散れ!」
俺の叫びと同時に、巨大な歯車が粉砕され、紫色の炎が爆ぜる。
砂煙の中から現れたのは、あのプロフェッサーから「失敗作」と吐き捨てられた、執念の戦士。
「……一条レン……。貴様を殺すまで、私は終わらん……!」
仮〇ラ☓ダー・ハデス。
その装甲は、以前戦った時よりも禍々しく変貌していた。右腕には無理やりボスのパーツを接合したような、巨大なハサミ状の武装が追加されている。
「ハデス……! まだ追いかけてきてたのか」
「プロフェッサーに……捨て駒と言われようが構わん! 貴様のドライバーさえ手に入れば、私は『真の王』になれるのだ!」
ハデスが紫の炎を纏い、突進してくる。
「海斗、ハルカを頼む! ここは俺が止める!」
「わかった! お兄さん、死ぬなよ!」
俺は走りながら、レバーを全力で叩き込んだ。
**『――CONNECT GEAR: BURNING――』**
白熱する装甲。だが、ハデスの捨て身の一撃は凄まじかった。
巨大なハサミが俺の胸部装甲を掴み、そのまま壁面へと叩きつける。
「ガハッ……!?」
「見ろ、この力! 私の憎しみ(データ)が、システムを限界以上に引き上げている!」
ハデスの攻撃には、理屈を超えた「執念」が宿っていた。
俺のバーニング・フォームの熱すらも、紫の冷気が押し戻していく。
絶体絶命のその時、俺の網膜ディスプレイに、プロフェッサーからのハッキング・メッセージが浮かんだ。
『プレゼントだ。……その壁の奥を、全力でブチ抜きたまえ』
視線の先、ハデスに押し付けられている壁の奥。
そこに、異常なまでのエネルギー反応がある。
「ハルカ、海斗! 俺に衝撃を与えろ! あの壁をぶち抜く!」
「えっ、自爆するつもり!? ……いや、信じるよ! 海斗君、最大出力!」
「了解! 風と炎を一点に!!」
海斗の旋風と、ハルカが即興でバイクから射出したエネルギー弾が、俺とハデスの背後に着弾する。
爆風。
俺とハデスは、もろくなった壁を突き破り、その「奥」へと転がり込んだ。
そこは、白く発光する液体が満たされた、巨大な実験槽だった。
**『――NEW COMPONENT DETECTED: "X-GEAR"(新パーツ検知)――』**
**『――SYSTEM EVOLUTION: INITIALIZING(システム進化:初期化中)――』**
「何だ……!? この光は……ッ!!」
ハデスの悲鳴と共に、実験槽の白い液体が、俺のドライバーへと吸い込まれていく。
俺の脳裏に、再びあの男の声が響く。
*『お前の本当の名は――』*
白銀の光が、第15層の闇を塗り替えた。
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