第12話:鋼鉄の猟犬と、不敵な少年
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## 第12話:鋼鉄の猟犬と、不敵な少年
「……ハッ、魔法がダメなら科学、か。管理局もなりふり構ってられないようだな!」
崩落する天井から降り注ぐのは、管理局が極秘裏に開発していた対テロ用強化外骨格部隊。
彼らの放つ高周波ブレードが、迷宮の岩壁を豆腐のように切り裂いていく。
「レンさん、右! 追尾ミサイルが来るわ!」
ハルカが叫ぶと同時に、俺はストライカー・ウィーラーのハンドルを左へ切り、地面すれすれのバンクで爆発を回避した。
「ハルカ、掴まってろ! ……『バースト・ショット』全開!」
バイクのフロントカウルから放たれる紅蓮の弾丸が、空中の特殊部隊を次々と撃ち落とす。
だが、奴らの数は尋常ではない。背後からはさらに、大型の『多脚歩行戦車』までもが姿を現した。
『うわ、管理局マジで殺しに来てるじゃん』
『これもう戦争だろ……』
『一条! 負けるな! 投げ銭の代わりにエールを送るぞ!』
配信の視聴者数は2,000万人を突破。
その「熱狂」がベルトに還元され、俺の全身を包む装甲がパチパチと青白い放電を始めた。
「……? なんだ、この感覚。力が、勝手に引き上げられていく……」
**『――RESONANCE LEVEL: 45%(共鳴率:45%)――』**
**『――POWER UP: STRIKE BOOST(ストライク・ブースト作動)――』**
その時だった。
「……おいおい。大人が寄ってたかって、一人のライダーをいじめるなよ」
戦場に、場違いなほど軽い少年のような声が響いた。
通路の陰から飛び出してきたのは、スケボー型の魔導具に乗った一人の少年だ。
彼はゴーグルをクイッと上げると、背負っていた巨大なバックパックから「何か」を取り出した。
「お兄さん、配信見てたよ。あんたの戦い、最高にクールだ」
「……ガキ? 逃げろ、ここは戦場だぞ!」
「いいから見てなって。……これ、あんたのベルトを参考にして俺が『自作』したんだ」
少年が腰に巻いたのは、基板や配線が剥き出しの、粗削りなベルト。
彼がそこに「メモリーカード」のようなデバイスを差し込む。
**『――BOOTING... CUSTOM GEAR: WIND-ACE(ウィンド・エース起動)!!――』**
突風が吹き荒れた。
少年の全身が、エメラルドグリーンの軽量装甲に包まれる。
ストリクスのような重厚さはないが、風を纏ったその姿は、あまりに軽やかだった。
「行くよ、相棒! 変身!」
少年――後の**『仮〇ラ☓ダー』**が、スケボーで空中を駆け、特殊部隊の多脚戦車へ突っ込んでいく。
「……自作だと? 嘘だろ」
俺は驚愕した。
アーク・ドライバーは失われた遺物のはず。それを、配信の映像だけで解析し、再現しようとする天才(あるいは狂人)が現れたのだ。
「レンさん、今のうちに! 彼が道を作ってくれてる!」
「……ああ。名前も知らない『ファン』に、助けられたままじゃいられないな!」
俺はアクセルを捻り、少年の風が切り裂いた突破口へと突っ込んだ。
孤独だった俺の戦いに、初めて「横に並ぶ者」の予感が走る。
世界は変わり始めていた。
俺の配信は、ただの記録ではない。
それは、新しい時代の「変身者」たちを生み出す、希望の種火になっていたんだ。
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