第10話:反逆の配信者(ストリーマー)
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## 第10話:反逆の配信者
管理局を真正面から叩き伏せたその足で、俺たちは地上へと戻らず、第5層のさらに奥、ハルカが用意した『セーフティエリア』へと身を隠した。
「……レンさん、大変。管理局が公式声明を出したわ」
ハルカが差し出した端末には、俺の顔写真と共に**『国家反逆罪・特級危険指定』**の文字が躍っている。
「一条レンは、禁忌の魔導具を盗み出し、罪なき魔法騎士たちを虐殺した……」なんてデタラメなニュースが、世界中に垂れ流されていた。
「あいつら、自分たちの無能を隠すために、俺を悪者に仕立て上げやがったな」
だが、俺には武器があった。
空中に浮かぶ、傷だらけの撮影ドローンだ。
「ハルカ、回線は繋がるか?」
「ええ。衛星魔導通信をバイパスして、世界中の全プラットフォームに強制同時配信できるわ。……でも、やったらもう、本当に後戻りできなくなるよ?」
「……最初から戻る道なんてないさ」
俺はアーク・ドライバーを腰に巻く。
バイザー越しに、ドローンのレンズを見据えた。
**『――LIVE STREAMING: START――』**
瞬時に、全世界の端末に通知が飛ぶ。
視聴者数は秒単位で跳ね上がり、100万、300万……そして1,000万を超えた。
「……聞こえるか、魔法に酔いしれる世界の人々よ」
俺は静かに、第6層で手に入れた『古びた手紙』――失われた文明の記録をカメラにかざした。
「管理局が隠している真実を教えてやる。この世界の魔法は、俺のベルトの劣化コピーに過ぎない。このダンジョンは、かつての人間が『意思を形にする力』を制御できずに生み出したゴミ捨て場だ」
コメント欄が激しく流れる。
『嘘だろ!?』『魔法は神の贈り物だぞ!』『でも、あのベルトの力を見れば……』
「信じないなら、俺を追ってこい。俺はこのダンジョンの最深部、第100層を目指す。そこに何があるのか、俺の変身が本物か、お前らの魔法が偽物か、全部さらけ出してやる」
俺は右手を高く掲げ、レバーを叩いた。
**『――CONNECT GEAR: 00(オリジナル・ゼロ)――』**
基本フォームへと変身する。
だが、その輝きは以前よりも澄み渡り、王者のような風格を帯びていた。
「俺は、お前らの味方じゃない。だが、俺はこの世界の『真実』の味方だ」
俺はバイクのエンジンを吹かす。
ハルカがリアシートに跨り、俺の腰を強く抱きしめた。
これから始まるのは、世界中から追われ、世界中から監視される、空前絶後の攻略劇。
「行くぞ、ハルカ。……世界の裏側までな」
爆音を響かせ、赤い閃光が暗闇の奥へと消えていく。
それは、魔法に支配された文明が終わりを告げ、新たな「個の意思」が歴史を刻み始めた瞬間だった。
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