第9話:凱旋、そして反逆の狼煙
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## 第9話:凱旋、そして反逆の狼煙
第6層の主を討ち果たし、俺とハルカは地上へと引き返していた。
新フォーム『バーニング・ストリクス』の熱を帯びたまま、ストライカー・ウィーラーはかつてない速度で迷宮を駆け上がる。
「レンさん、見て……第5層の入り口に、さっきの騎士団が陣を敷いてる!」
ハルカが指差す先。
そこには、管理局の『精鋭魔法騎士団』の主力、約50名が魔法の壁を展開して待ち構えていた。
中央には、さらに豪華な鎧を纏った一人の男――管理局次長、ゼノスが立っている。
「一条レン! 止まれ! 貴様は禁忌の力を用い、国家資産であるボスを不当に破壊した。そのベルトを差し出し、投降しろ!」
俺はバイクを止め、ゆっくりと降りた。
背後のハルカを庇うように、一歩前へ出る。
「不当、か。……俺が戦わなければ、そこにいるカイトたちは死んでいた。それを助けた礼が、これか?」
「黙れ! 魔法を使えぬ者に、この世界の秩を乱す権利はない!」
ゼノスの杖が光り、周囲の魔法使いたちが一斉に強力な拘束呪文を唱え始める。
『おい、数に頼ってそれかよ』
『管理局、マジでクソだな』
『一条さん、やっちゃえ!』
配信の視聴者数は50万人を維持したまま、怒りのコメントで埋め尽くされている。
「……秩序、か。あいにくだが、俺のベルトにはそんな言葉は記録されてない」
俺は静かに、アーク・ドライバーのレバーを引いた。
**『――CONNECT GEAR: BURNING――』**
ゴォッ!! と、周囲の酸素を食いつくすような白い炎が吹き出す。
「ひっ……!?」
最前列の騎士たちが、その熱圧だけで後ずさりした。
「火炎、氷結、雷鳴……全属性魔法、一斉掃射ッ!!」
ゼノスの号令とともに、色とりどりの魔法が俺に殺到する。
だが、俺は避けない。
**『――ENERGY ABSORB(エネルギー吸収)――』**
バーニング・フォームの装甲が、放たれた魔法のエネルギーをすべて「熱」として吸い込み、さらに輝きを増していく。
「バカな!? 魔法が……効かないだと!?」
「……温いな。これが俺の、新しい力だ」
俺は一瞬で距離を詰めた。
加速魔法よりも速い、物理的な爆発。
騎士たちの中心で、俺は右拳を地面に叩きつけた。
**『――BURNING FIELD!!――』**
ドォォォォォォン!!
爆発的な衝撃波が騎士団を襲う。
殺傷能力は抑えているが、その圧倒的な出力差は歴然だった。
黄金の鎧を纏ったエリートたちが、木の葉のように吹き飛び、壁に叩きつけられる。
最後に一人残ったゼノスの喉元に、俺は白熱する指先を突きつけた。
「……秩序を守りたいなら、自分で守れ。俺を管理しようなんて思うな」
「う、うあ……あああ……」
ゼノスが膝から崩れ落ちる。
俺は一瞥もくれず、ハルカをバイクに乗せて再び走り出した。
「レンさん、これからどうするの……? 管理局を敵に回しちゃったよ」
「ああ。……だから、俺たちは隠れる。……いや、違うな」
俺は胸元にある、ボスからドロップした『手紙』に触れた。
そこには、この世界の魔法の源が、実はこのベルトと同じ「技術」の劣化コピーに過ぎないことが記されていた。
「これからは、俺がこの世界の『真実』を中継してやる」
魔法が万能だと思い込んでいるこの世界に、俺は物理という名の反旗を翻した。
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